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“オープンソースコミュニティの中心部”がMicrosoftに 75億ドルのGitHub買収

 Microsoftが、開発者に絶大な人気のコードリポジトリサービスのGitHubを75億ドルで買収すると発表した。GitHubは、共同作業のできるソフトウェア開発プラットフォームとして10年前に設立。プログラミング、クラウドの重要性が増す中で、多くの企業から熱い視線を浴びていた。同社を射止めたMicrosoftは、どのように展開してゆくのか。また、どのような課題に直面することになるのか――。

「買収額は売り上げの25年分」

合意では、75億ドルは全てMicrosoft株で支払う。GitHubは買収後も独立して運営され、「引き続き、あらゆる産業の全ての開発者がプラットフォームを利用できる」「プログラミング言語、ツール、OSなどを自分の選択で、そのまま利用できる。コードは、あらゆるOS、クラウド、デバイスにデプロイできる」とオープン性を強調している。

 新GitHubのCEOには、MicrosoftのバイスプレジデントのNat Friedman氏が就任する。同氏は2016年にMicrosoftに買収されたXamarinの創設者で、オープンソース界のベテランとして知られる。また、GitHubのCEOであるChris Wanstrath氏は、マイクロソフトのテクニカルフェローに迎えられる。当局の審査を経て、年内に買収手続を完了する予定だ。

 75億ドルという額。2016年にLinkedInを買収した際の262億ドルには遠く及ばないが、2013年のNokiaの携帯電話事業買収(72億ドル)より高く、2011年のSkype買収(85億ドル)より安い。Microsoft史上3番目の大型買収だ。2015年のGitHubの評価額は20億ドルだった。

 2800万超のユーザーを誇るGitHubを欲しがったのはMicrosoftだけではない。CNBCは5日、GitHubが、GoogleやAmazonからも買収の打診を受けていたことを関係者の話として伝えた。ほかに、オーストラリアのAtlassian、中国のTencentも動いていたという。

 それによると、Googleとの交渉は、ここ数週間続いていたが、結局、Microsoftの提示額の方が大きかったという。「MicrosoftはGitHubの年間売上の25倍を支払った」(交渉を知る関係者の一人)ということから、GitHubの現在の売上規模は、昨年8月時点の2億ドルから5割増の3億ドルと推定されている。

 そして、買収で3人の億万長者が生まれる。Chris Wanstrath氏は15億ドル分のMicrosoft株式を受け取る予定とForbesは試算している。他の共同創設者のTom Preston-Werner氏とPJ Hyett氏は、それぞれ12億5000万ドルと10億ドル近くを手にするという。このほか2012年にGitHubに1億ドルを投資したベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzは、株式の13%を所有しており、約10億ドルを手にすることになる。