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レガシーシステムもクラウドへ Salesforceの「Integration Cloud」

デジタルトランスフォーメーションにはクラウドだけでは限界?

 SalesforceのMuleSoft買収、そしてIntegration Cloudの発表から見えてくるのは、既存企業の場合、クラウドだけでは、「デジタルトランスフォーメーション」が難しいということだろう。

 MuleSoftの買収を分析したZDNetは、MuleSoftのビジネスの多くがオンプレミスであるという点に着目し、Salesforceの狙いが「ハイブリッドクラウド実装戦略の強化」だとしている。

 また、WRAL TechWireは、「デジタルトランスフォーメーションは、バックオフィスシステムへのアクセスなしには完成し得ない」と背景を解説する。Salesforceは営業支援、マーケティング、サービスなどフロントオフィスをそろえるが、バックオフィスはなお、SAPやOracleが独占している。Salesforceは、MuleSoftの買収で、これらと効率よく接続する手段を得られる。

 SalesforceのBlock氏は「将来は企業のレガシーシステムがクラウドに移行するだろう。だが、企業は何年もかけてこれらの(レガシー)システムを構築しており、レガシーがどのぐらいあるのか過小評価してはならない」とWall Street Journalに語っている。

 ほかのシステムとの接続について、重要性を感じているのはSalesforceだけではない。マーケティングで激しく争うAdobe Systemsは時を同じくして「Experience Systems of Record」というコンセプトを打ち出している。

 ERPなどの記録に特化したシステムで、異種システムからのデータ統合をやりやすくする。Experience Systems of Recordではデータパイプラインによって、さまざまなデータソースを活用する。また、SAPも2017年にSAP、非SAPのデータを活用するための「SAP Data Hub」を発表している。

 こうしたクラウドとレガシーシステムとの連携は、IoT時代に向け、データの効率のよい収集と活用が重要になっていることにも後押しされているのだろう。