Infostand海外ITトピックス

レガシーシステムもクラウドへ Salesforceの「Integration Cloud」

レガシーシステムのデータが足かせに

 MuleSoftは2006年創業のデータ統合技術ベンダーだ。主力製品のAnypoint Platformは、新しいアプリの構築だけでなく、オンプレミスにあるレガシーアプリケーションのアップデートとクラウドへの移行支援でき、大きな注目を集めてきた。データ統合からプロセスオートメーション、API公開までをシームレスに提供して連携基盤の構築ができるという。

 SalesforceがMuleSoft獲得に投じた金額は65億ドル。それまで同社にとって最大だったDemandware(2016年に28億ドルで買収)の2倍以上の額となる。これは、MuleSoftにそれだけの戦略的価値を感じているからにほかならない。

 SalesforceのCOO(最高執行責任者)Keith Block氏は、MuleSoftの買収について、「顧客の声あっての買収」「顧客のニーズを満たすパズルの重要なピースであるし、顧客のデジタルトランスフォーメーションを加速することでも不可欠なピース」とWall Street Journalにコメントしている。裏を返せば、顧客の強いニーズ、つまり「レガシーシステムに閉じ込められたデータが足かせになっている」ことがあった、とWall Street Journalは指摘する。

 Gartnerのアナリスト、Elizabeth Golluscio氏も同意する。Golluscio氏は「Salesforceのようなクラウドプラットフォームを使うと、顧客や売上などのデータが、バラバラのシステムに分かれて保管されているということに気づく企業が多い」とWall Street Journalに述べている。

 その「バラバラなシステム、データを統合」する上で、APIは重要な役割を果たすという。Web企業はWeb上にあるサービスやアプリが提供するAPIを組み合わせて利用してさまざまなサービスを構築してきた。
いわゆる「マッシュアップ」だ。この手法がレガシーとの統合でも有効だとということだ。Golluscio氏はAPIを“配管技術”と呼んでいる。