Infostand海外ITトピックス

AIが読解力テストで人間を上回った! MicrosoftとAlibabaの快挙

3年間で1兆7000億円の開発投資をするAlibaba

 今回、人間を上回るスコアを出したのは2社だが、メディアは、Microsoftよりも、Alibabaにスポットを当てた。AlibabaはECからスタートして、決済やヘルスケアなど多方面に事業展開し、Amazonと同様、クラウドサービスにもAliyun(阿里云)で展開しており、その成長率はAWSを上回っている。

 その一方で研究開発の強化を進めており、昨年10月には3年間で1000億元(約1兆7000億円)を投じると発表している。それまでの3年間にかけた開発投資の2倍以上にあたる。対象は「moonshot project」(困難だが、成功すれば大きな影響を与えうるプロジェクト)で、AI、IoT、量子コンピューティングなどを挙げている。

 「DAMO」(Discovery Adventure Momentum Outlook)と呼ばれるこの計画は、米、露、イスラエル、シンガポールなど世界に7つの研究施設を設立し、100人の科学者を獲得するとしている。世界の最高の人材を集め、開発した技術をグループの事業に活用してゆく考えだ。

 Alizila.comによると、1月17日には、その研究施設の一つである「AQL」(Alibaba Cloud-Quantum Positions-Aliyun Quantum Laboratory、北京)に、量子コンピューティングで著名な研究者、Mario Szegedy氏が参加すると発表された。Szegedy氏は元ラトガース大学(ワシントン州)の教授で、コンピュータ科学では「チューリング賞」と並び称される「ゲーデル賞」を2度受賞している。AI、量子コンピューティング、クラウドを結びつける要になるかもしれない。

 AI分野では、中国が急速に力を伸ばしており、SQuADテストでも中国勢の躍進が目立っている。成績を一覧できるリーダーボードには、MicrosoftとAlibabaとともに、Tencent、浙江大学、復旦大学、清華大学、北京大学などが並んでいる。

 中国国務院は2017年7月、AIを2020年までの経済の "次の重要な"けん引役と位置づけ、1兆元(約17兆円)市場にまで育成する目標を掲げている。政府の後押しと、豊富な資金を持つ中国ハイテク企業は、どこまで行くのだろうか――。