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クラウド業界はAI開発フレームワークで協力するか? 手を組むAmazonとMicrosoft

AIでのGoogleの圧倒的な存在感

 Business Insiderは、AmazonとMicrosoftが協力してGoogleに対抗することが、この提携の重要なポイントだと解説する。

 Business Insiderは、ユーザー投稿型ニュースサイトHacker Newsへの開発者の投稿として「Gluonは、AIツールでMicrosoftとAmazonが一定の影響力を取り戻そうする試み」というコメントを紹介する。AIツールではGoogleのフレームワークの人気が高く、Amazonが人気の技術に対抗して自社の競合製品を作ろうとするのは「自社の支配権と取り分を確保」するためと指摘する。

 Googleは、クラウドサービスでのシェアは、AmazonとMicrosoftの後塵を拝してはいるが、AIではトップランナーだ。同社が開発したTensorFlowフレームワークは、現在、ディープラーニング分野で最も人気を集めている。

 GitHubが10月中旬に発表した「The State of the Octoverse 2017」によると、TensorFlowは「最もアクティブなリポジトリ」のトップであり、コントリビューター数でも5位と多くの開発者が参加している。7万3800の「スター」(「いいね」に相当)を集め、ディープラーニング分野では、2位の「keras」(2万600スター)の3倍以上の差をつけて1位になった。なお、CNTKは1万2800スターで7位。MXNetは1万1700で9位だった。

 開発者の多くはTensorFlowを好み、ますます集中する傾向にある。ライバルたちは、それぞれ開発者を呼び込む努力をしているが、簡単には追いつけないだろう。GoogleがGluonプロジェクトや、ONNXに参加する可能性は今の時点では低い。CNBCは、Googleの意向を確認するため同社に取材したが、コメント拒否だったという。

 実は、Gluonが提供しようとする機能では、GitHubでも人気のKerasという選択肢が既にある。TensorFlowと相性の良いライブラリ(ラッパー)で、Googleの開発者が中心となって開発している。CNBCは「TensorFlowを使いたい開発者は、Kerasと呼ばれるGoogleがサポートするPython APIを使用する方が(Gluonを使うより)簡単かもしれない」と言う。

 少なくとも今の時点では、Google側から他ベンダーに合わせてゆく理由はなさそうだ。