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ハード企業へと変貌するGoogle HTCのスマホ部門買収

 Business Insiderは「Googleは“ポスト・スマートフォン”の世界へ向けて準備しているよう見える」と解説した。買収は、短期的にはPixelでiPhoneや他のハイエンド端末と戦うためだが、長期的には、「スマートフォンの次」へ向け、自らの不足部分を補うものだと分析する。

 ハードウェアにも長く取り組んできたMicrosoftやAppleと比べ、Googleには「ハードウェアビジネスの深い知識と経験が欠落している」。そこで、HTCを獲得して「ハードウェア開発の分野で数年分をスキップし、間違いを避け、よりスマートな方法で素早く成し遂げる」ことを狙うというのだ。

 Googleはここ数年、Google Homeや、Google Wifiのようなスマートデバイスに力を入れている。ハードウェア部門の統合もその一環だ。

 この分野では、スマートスピーカー、Amazon Echoが躍進している。Amazonは、家庭にEchoを送り込み、PCもスマートフォンも介さず、消費者に直接リーチする手段を得た。また、こうした新しいスマートデバイスは、Googleのメインビジネスである広告にも影響を与えつつある。Financial Timesによると、デバイスメーカーの広告トラフィックも増えているという。

 CCS InsightのアナリストGeoff Blaber氏は「(Googleには)さまざまなカテゴリのハードウェアエンドポイント」が必要だと述べている。機械学習のためのデータを収集し、デジタルアシスタントのプラットフォームとして機能させるためだ。

 今後のサービスのカギになるAIでは、ソフトウェアとハードウェアの緊密な連携が重要になる。

 AIサービスではクライアント側でより多くの処理を実行する方向に進んでおり、スマート端末での機能の統合・最適化が重要になるからだ。ライバルのAppleは、先日発表したiPhone X/8で、ニューラルネットワークに対応した「A11 Bionic」を採用した。このチップは端末側で機械学習を行えるよう最適化してある。

 Googleは必然的に、ハードウェア企業にならざるを得ない。HTCとの取引はそのひとつということだろう。