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ハード企業へと変貌するGoogle HTCのスマホ部門買収

 Googleは、2012年5月に125億ドルでMotorolaの携帯電話部門を買収したが、2年も経たない2014年1月に29億1000ドルでLenovoに売却すると発表した。買収の主目的がMotorolaの特許取得であったことはその後のメディアの検証などでも知られているが、ほかにも、ハードウェアのパートナーとの関係も要因となったことをWall Street Journalなどは指摘している。

 Googleは、Motorolaを独立した事業として運営しようとしたが、傘下に収めたことが、Androidをライセンスする端末メーカーとの緊張を高めた。パートナー各社は、OSでGoogleに依存しながらハードで競合することを嫌ったという。

 今回のHTC買収でも、同様の緊張を招く可能性はある。だが、Googleは、対iPhone戦略の上で自社生産が必要と判断した、と多くのメディアは分析している。

 現状、iPhoneと渡り合えるハイエンドAndroid端末のメーカーはSamsungだけであり、同社へのGoogleの依存度は高くなっている。

 Financial Timesは「自社でのスマートフォン製造は、Samsung依存のヘッジにつながる」(Creative StrategiesのCarolina Milanesi氏)とのアナリストのコメントを紹介している。さらにMilanesi氏は「Samsungが自社でソフトウェアとサービスのエコシステムを構築すれば、Googleにとって危険」との懸念も挙げた。Samsungは独自のAIアシスタント「Bixby」を今年3月に発表している。

 Wall Street Journalは、スマートフォン市場での影響力を維持するため、Googleが規模を必要としていると述べ、「自社ハードウェアの構築に極めて真剣」(Jackdaw ResearchのJan Dawson氏)とのコメントを紹介している。

 さらには、この取引はスマートフォンだけの話ではないとの見方もある。