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全クラウド大手がKubernetes推進へ、AWSのCNCF参加

Dockerにとってはリスクにも

 クラウドの競争という視点では、与える影響は小さくはなさそうだ。CNCFはAWS参加を受け、「5大パブリッククラウド事業者が全部そろった」と宣言した。5大のうちの2番手であるMicrosoftは、わずか2週間前に、プラチナメンバーとして加入したばかりだ。

 この時点では、CNCFに加入するのは「AWS以外の全て」だったが、残るAWSが参加したことで、Microsoftの思惑は外れ、AWSに対する競争優位性を失いかねなくなった。Microsoftが参加した当初、ITProは「エンタープライズで使われているKubernetesは、顧客を引きつける上で重要」および「AWSとの差別化」という2点から分析していた。

 Business Insiderはコンテナ分野の競争の面から、AWSがKubernetesに加わってKubernetesの勢いが増すことは、「Dockerにリスク」になると分析した。Dockerはコンテナ技術でありコンテナオーケストレーションとしてはKubernetesと競合する技術「Docker Swarm」を提供している。

 KubernetesへのAWSの参加は、仮想化からコンテナへの移行を象徴するものでもある。CNCFのKohn氏はZDNetに対し、「この10年、エンタープライズ最大のトレンドは仮想化だった。だが、仮想化トレンドは終焉に向かっており、クラウドネイティブの時代になった」とする。Kubernetesなどのオープンソース技術によって、パブリック、プライベート、ハイブリッドクラウド間の移行も簡単になり、この動きはさらに加速すると見る。

 TechCrunchも「コンテナ化は明確な方向性だ」として、大企業が本格的に活用に乗り出していることを指摘する。そこでKubernetesは、相互運用性などを実現する業界標準の役割を果たすことになるという。AWSの支援でKubernetesがさらに普及することは間違いない。