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Appleの自動運転車プロジェクトが規模縮小、難しい“iPhoneの次”

 “Apple Car”と呼ばれ、さまざまな憶測を呼んでいたAppleの自動運転車プロジェクトが、従業員の移動用シャトルとしてデビューすると報じられた。テクノロジー企業、自動車メーカー入り乱れて開発が進められている自動運転車だが、同社は戦略を変更して、当初目標としていたハードウェアからの一貫生産を捨てたのだという。

「Project Titan」は従業員用シャトルに

 「自動運転車プロジェクトの規模縮小」として、8月22日付のNew York TimesがAppleの自動運転車プロジェクトの最新の状況を報じた。この情報に詳しい5人の関係者から匿名を条件に内情を聞いたもので、2014年に始まったプロジェクト「Project Titan」が、同社のキャンパス間の従業員の足として初めて具体化すると伝えている。

 シャトルの名称は「PAIL」。Palo Altoから本社があるInfinite Loopまで(約20キロ)という意味で、その頭文字をとった。New York Timesによると、PAILが明かされるのは初めてで、まだ運転に入っていないという。

 採用する自動車はApple製ではなく、商用モデルの車にAppleが開発した自動運転技術を搭載する。Business Insiderによると、トヨタのハイブリッドクロスオーバーSUV「Nexus Rx450h」で、今春、カリフォルニア州の規制当局から自律走行テストの許可を取得したモデルだ。

 いよいよ現実とも思われるPAILだが、実際は当初の計画に沿ったものではなく、戦略見直しを余儀なくされた結果だという。

 Appleは、MacやiPhoneに見られるように、ソフトウェアから、ハードウェアのルック・アンド・フィールまで製品のあらゆる面を自社で管理する「Do it All」アプローチを得意としている。自動運転車プロジェクトも、この方針で進められてきた。「開発者が技術をあれこれ触ってみて何に使えるのかを見出すというのがAppleの得意技だった」とNew York Timesは言う。

 Titanも、古くからのApple社員、自動車製造技術に詳しい新規採用メンバーが集まって、ソフトウェアに限らず、広く自動運転車そのものに取り組んでいた。

 しかし、そのアプローチは難航し、2016年にプロジェクトの仕切り直しが決まった。それまでプロジェクトを率いてきたSteve Zadesky氏は“個人的な事情”を理由に、年初にリーダーから降りる。新しくリーダーとなったBob Mansfield氏はApple製品のハードウェアエンジニアを率いてきた人物で、基盤となる自動運転技術にフォーカスを移した。