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全クラウド大手がKubernetes推進へ、AWSのCNCF参加

AWS離れのリスクは?

 Canalysの調査では、世界のクラウドインフラ市場は年約50%の率で成長しており、その約34%をAWSが占める。これは、2、3、4位(Microsoft、Google、IBM)を合わせたよりも多い。そしてAWSはCNCFに参加した最後の大物だ。

 CNCFへの参加の狙いは何か? OpenStackに参加しなかったことが示しているように、AWSはプロプライエタリ技術を好むベンダーだ。そのAWSの今回の動きは、Kubernetesの勢いを受けたものとみられている。

 CNCFが6月に発表したユーザー調査(2017年3月)によると、Kubernetesの実装プラットフォームとして最も多いのはAWSだった。シェアは63%で、1年前の44%から大きく増えている。AWSの参加で、Kubernetesが容易に使えるようになれば、顧客は歓迎するだろう。

 TechCrunchはAWSの決断を、技術分野での標準の重要性から分析し、「スマートな動き」と評する。「AWSのように大きくて力があり、シェアが大きければ、(その分野を)コントロールできるものだ。しかしAWSはコンテナをコントロールしていない。ここでコントロールしているのはKubernetesだ」とし、参加は「Kubernetesが業界標準になったことを認めたもの」とする。技術業界の戦いは、「構築」「買収」「オープンソース」の3択であり、コンテナ管理では「もう、その答えは出ている」と言う。

 Business Insiderは、AWSにはコンテナオーケストレーションで、「EC2 Container Service(ECS)」という競合技術があることを指摘しながら、「倒せない敵なら、味方になった方が良い」とAWSの戦略を分析する。CNCFの執行ディレクター、Dan Kohn氏は、AWSは自社の取り組みを継続しながらKubernetesに参加できる、とコメントしている。

 InfoWorldは、KubernetesはAWSが「AWS Lambda」で進めるサーバーレスコンピューティングの取り組みを参照しながら、サーバーレスではコンテナオーケストレーションの重要性は低くなるものの「現実として、業界全体がKubernetesを支援した」と解説する。

 これまでのところ「Kubernetesの人気がAWS離れにつながってはいない」(BoxのエンジニアDemetri Mouratis氏)という現状を認めながら、Kubernetesの普及でRed Hatなどのマルチクラウドツールが成熟すれば、最終的にはAWSからの移行が容易になると予想する。

 当のAWSはどう考えているのか? InfoWorldは「AWSは注意深く、自分たちの計画についてほとんど開示していない」と指摘する。

 そのAWSのAdrian Cockcroft氏はブログで、「複数のCNCFプロジェクトと作業グループに興味を持っている」と述べた。そして、CNI(Container Network Interface)をコンテナネットワーキングの基本技術として、次期ECS Task Networking機能はCNIプラグインとして作成すること、Kops(Kubernetes Operations)などのAWSのKubernetesインストールツールなどの取り組みに触れ、コードに貢献したいと記している。