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AIとソフトウェアで“直感的”ネットワーク Ciscoの「Network Intuitive」

変化の中、難しいかじ取り

 Robbins氏は、CiscoのCEOを20年間務めたJohn Chambers氏の後を継いで2015年7月にトップに就任した。ネットワーク機器で全盛期を築いた同社を、新しい時代に合わせてかじ取りしてゆく重責を負っている。

 The Economistは、Robbins氏の取り組み全体を俯瞰しながら、今回の新戦略を「クラウドコンピューティングに適応させている」と評価している。現在のクラウドの普及で企業の自前機器のニーズが減少していること、ソフトウェアの重要性が高まっていることなどのトレンドに対してRobbins氏が、大手クラウド事業者向けのカスタマイズ製品の提供、ソフトウェアとサービス事業の強化とサブスクリプション形式の導入、AppDynamicsやViptelaなどの買収などで手を打ってきたことを挙げる。

 また、Ciscoのシェアが減っていることに触れながら、「新構想が、Huawei Technologies、Arista Networksなどの脅威に対する防御になる」(Stanford C. Bernsteinのアナリスト)との見解を紹介する。またDell EMC、Hewlett Packard Enterprise(HPE)など、コンピューティング側からの競合への対策にもなりうるという。

 だが同時に、コンピューティングが(クラウドにより)中央化され、Ciscoがネットワークを縫い合わせる必要は今後ますます小さくなるかもしれない、とも予想する。クラウド事業者側が、ネットワークの管理と自動化分野に向けて拡大すると見られるからだ。

 さらには、「戦略実行という点では、Ciscoは必ずしも成功ばかりではない」と付け加えた。具体的には、前任Chamber氏が2013年に打ち出した「企業の情報技術分野でナンバーワンベンダーになる」という目標が果たされていないことだ。

 The Economistは、Thomson Reutersのデータから作成した、2000年から現在までの米国の技術企業の評価額の比率の変遷図を掲載している。2000年当時、Ciscoの比率はIBM、Oracleを上回り、Microsoftと同程度で最大規模だった。しかし2017年には、Apple、Alphabet、Facebook、Amazonなどに抜かれ、凋落ぶりが目立つ。

 ネットワーク運用は大変動期にある。Robbins氏の手腕が問われるのはこれからと言える。