Infostand海外ITトピックス

エンタープライズに浸透中 オープンソースPaaSのCloud Foundry

開発者認定制度などで拡大図る

 イベントでは、新プロジェクト「Kubo」の立ち上げも発表された。GoogleとPivotalが開始したもので、リリースエンジニア、実装、ライフサイクル管理など運用担当向けのCloud Foundryプロジェクト「BOSH」をベースに、任意のクラウドでKubernetesを使ったコンテナの管理を支援する。

 同じEMC傘下で姉妹のような関係にあるVirtustreamとPivotalは、クラウドネイティブアプリの迅速な実装で提携。VirtustreamがPivotalの顧客にレガシーおよびクラウドネイティブサービスを実装できるクラウドサービスを提供すると発表した。

 そしてCloud Foundryのさらなる拡大を思わせる発表が、アプリケーション開発者の公式認定プログラム「Cloud Foundry Certified Developer(CFCD)」の正式ローンチだ。今年3月に発表され、既に5000人以上の開発者がトレーニングを受けているという。

 今回、Linux Foundationに加え、Dell EMC、IBM、SAPなど参加企業がトレーニングを提供することになった。Cloud Foundryを熟知した開発者は米国で3番目に報酬が高く、年平均約12万4000ドルの求人があるという。

 TechCrunchは、CFCDのローンチ、そして任意の言語が使えるCloud Foundryの特徴を挙げ、デジタルトランスフォーメーションを加速させる取り組みと評価する。一方、「デジタルトランスフォーメーションはまだ早期段階であり、7~8年かかる」(Cloud Foundry執行ディレクターのAbby Kearns氏)と、古いソフトウェアからの切り替えには時間がかかるとの見方も紹介する。

 こうして盛り上がりを感じさせるCloud Foundryだが、課題もある。 Diginomicaは、開発者向けイベントの要素が強く、エンタープライズの事例が見られたものの、パブリッククラウドとの統合についての情報が少なかった、と総括している。また、パブリッククラウドとの併用をどのようにして簡単にするかを、Cloud Foundryの幹部はアナリスト向けのセッションで明確に説明できなかったとも指摘している。

 Cloud Foundryは今後の取り組み分野として「サーバーレス」と「ユニカーネル」を挙げている。サーバーレスはAWSが「AWS Lambda」で先行している分野。ユニカーネルはOSをコンパクトにする手法で、DockerがUnikernel Systemsを買収したことで脚光を浴びている。

 引き続きCloud Foundryが注目を集めることは間違いなさそうだ。