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AIとソフトウェアで“直感的”ネットワーク Ciscoの「Network Intuitive」

 Ciscoが新しいネットワークの構想「Network Intuitive」を打ち出した。AIの機械学習でネットワーク上のトラフィックの「意図」を読み取って、intuitive(直感的)に構成を変更するもので、“10年に1度”の大変革という。クラウド化で一般ユーザーのハードウェア離れが進む一方で、IoTの増加でネットワークは複雑化している。ネットワーク運用の変化に対応するものだ。

25年分のソフトウェアを書き直し

 「(Network Intuitiveは)意図に沿って動き、コンテクストに基づく新しい時代のネットワーク」「10年に一度の重要な成果」。6月下旬にラスベガスで開催した年次カンファレンス「Cisco Live 2017」の基調講演で、CiscoのCEOのChuck Robbins氏はこのように説明した。

 Robbins氏によると、機能がハードウェアと直結している従来のモデルからソフトウェア/サービス中心にするため、25年分のソフトウェアを書き直した。その一部で、同社のネットワーク機器がベースとするOS(Cisco Internetwork Operating System)も、「モダンなデータモデル、API構造を持つOAにするため」に作り直したという。

 イベントを前に同社が発表したプレスリリースによると、同構想は「再考したハードウェアと高度なソフトウェアでネットワークの青写真を描いた」もので、敏捷性、生産性、パフォーマンスを高めることができるという。これを構成する要素が、「Intent」(意図)、「Context」(コンテクスト)、「Intuition」(直感)の3つだ。

 3要素の役割は次のようなものだ。意図ベースのネットワーキングは、機械学習を利用してルーティン業務を自動化し、数分で数百台規模の端末を管理する。コンテクストでは、収集したデータをコンテクストに沿って分析することで洞察を得る。これによってネットワーク運用を効率化できるだけでなく、セキュリティを強化し、サービスや体験をカスタマイズする。また「直感」は、機械学習の全面的な統合によって、ただちにアクションにつながる洞察を提供する。

 Ciscoはルーターやスイッチなどのネットワーク機器で持つシェアを生かし、蓄積したデータを活用して、リアルタイムで異常を知らせたり、問題を予測するソリューションを提供してきた。今回これを拡大し、ネットワークのエッジに自動化を持ち込み、ネットワーク管理者の負担を軽減すると説明している。