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着々と進むエンタープライズ攻略 「Google Cloud NEXT」から

Googleエンジニアと顧客との協業が高評価

 投資のかいあってか、実際にGCPは順調に顧客を獲得しているようだ。NEXTでは、Snap、Disney、Colgate-Palmolive、eBay、Verizon、HomeDepotと行った顧客事例が次々に紹介された。金融のHSBCもリスクとコンプライアンス、流動性レポートなどで必要となるビックデータ分析に利用しているという。最もよく知られているのが、「Pokemon Go」を開発したNianticだろう。スタートしてすぐアクセスが集中したが、GCPはその後見事にアクセス数の増加に合わせてシステムをスケールさせ、人気ゲームを支えている。

 メディアの反応も悪くない。Network Worldは「Google自身が数年前まで、IaaS分野でAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、IBMと戦うにあたって十分なものをそろえていないと認めていたが、準備は整ったようだ」とした。

 ComputerWorldは、エンタープライズでの戦略が成果を出しつつある理由に「人」を挙げる。その例として、化粧品のLushの例を取り上げている。同社の最高デジタル責任者はGCPを選んだ理由を「エンジニア間の関係」と説明。「難しい課題に一緒に取り組んでくれるという関係が良かった。GCPで到達したことは、ほかの環境では不可能だったと思う」と述べている。LushはそれまでAWSを使っていたが、GCPに乗り換えた格好になるという。

 アナリストの評価も上々だ。Technology Business Researchのアナリスト、Meaghan McGrath氏は、Googleが提供するCustomer Reliability Engineering(GRE)やSite Reliability Engineering(SRE)を「ユニーク」と評価。「Googleの製品に良い効果をもたらしている」と述べている。GREはNianticのアクセス障害を受けて開始したサービスで、Googleのエンジニアが顧客と共同で信頼性を維持するための作業を行うというもの。SREはサイト信頼性のために顧客と協業するものだ。

 ComputerWorldは「これまで、Googleの成功が技術由来であったことを考えると、この変化は驚きだ」としている。