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中国政府向け特別版「Windows 10」完成 米国企業参入の条件とは

 Microsoftが中国政府向けに進めていた特別版の「Windows 10」の開発が完了した。同国の市場に投入する手続きの最終段階にあり、販売準備も整ったという。中国という巨大かつ特殊な市場に売り込むため、中国企業と手を組み、政府のお墨付きで進めてきたプロジェクトだ。

中国政府向けWindows 10の開発

 Windows 10は、2015年7月のリリース時から、中国市場でも一般消費者向けに販売されている。しかし、前バージョンのWindows 8でWindows OSが政府機関の調達リストから外されたため、Microsoftは政府機関のコンピューターに食い込めないという悩みを抱えていた。

 中国政府向けカスタム版Windows 10は、この問題を解決すべく開発を決めたもので、2015年末に明らかにした。今回、それが完成したのだ。

 3月21日付の英字紙China Daily(中国日報)やWall Street Journal(WSJ)によると、開発にあたってMicrosoftは、China Electronics Technology Group(CETG)と提携し、ジョイントベンチャーC&M Information Technologyを立ち上げた。CETGは、主に中国人民解放軍向けに技術を開発する企業で、C&Mへの出資比率は51%。残りの49%をMicrosoftが出資した。

 中国政府向けに開発したWindows 10がどんなものなのか、詳細は明かされていない。Betanewsは、昨年3月の段階でMicrosoftの中国担当者に取材した中国紙を引用しながら、「Zhuangongban」と呼ばれている、コンシューマー向けのアプリケーションや機能を削除する、管理性と安全性を強化したものになる――などと伝えていた。

 中国日報によると、このOSは特別に開発されたセキュリティ機能を持つという。Microsoftの中国支社でCEOを務めるAlain Crozier氏は同紙に対し、「政府向けの安全システムのWindows 10の初のバージョンを開発した。既に大企業3社によるテストも終わっている」と述べている。

 OSは今後、中国政府のレビューを受け、認められれば正式に政府の調達リストに加えられる。製品はMicrosoftが提供するのではなく、C&Mが独占的にライセンスし、実装するという。