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AWSがビデオ会議サービス参入 「Chime」の狙いは

IaaSはコモディティ

 全体としては、競合との対比よりも、AWSのビジネスから分析をするメディアが目立った。

 Biba買収を報じた2016年11月の記事で、TechCrunchは「過去にAmazonがエンタープライズソフトウェア分野に拡大するのではないかと言われていたが、今となってはその線は濃厚と言える」としていた。

 そして今回の発表を受け、The Streetは「Amazonはエンタープライズソフトウェアのプレーヤーになりつつある」と分析している。

 それによると、Amazonはクラウドストレージ・ファイル共有の「WorkDocs」(旧Zocalo)、電子メール・カレンダーの「WorkMail」、BI・データ視覚化ソフトウェア「QuickSight」、バーチャルワークスペースソリューション「WorkSpaces」などをすでにそろえている。

 これらによって、Box、Dropbox、Tableau Software、Qlik Technologies、Citrix Systems、VMwareなどのエンタープライズプレーヤーと競合している。また、IaaSとPaaSで構築した顧客がアプリを提供できる「AWS Marketplace」には3500以上のソフトウェアがあり、プラットフォームとして、その売上の約20%を徴収するなど、ソフトウェア事業が拡大していることを挙げる。

 ZDNetもAWSの動きを「エンタープライズ向けの完全なスタックを構築している」とする。AWSはIaaSで顧客を獲得し、エンタープライズへと拡大したと流れを説明。IaaSで競合するMicrosoft、Googleなどが「Office 365」といったサービスをIaaSの入り口とするのに対し、AWSは逆方向で拡大しようとしている、と分析する。

 その理由は、「IaaSは、結局はコモディティ。AWSは高い価値のあるクラウドを提供するためにスタックを上位に拡大する必要があるため」とする。そして、この作戦がうまくいけば、「Microsoft、Google、IBMが持つ競合優位性を無効にするだろう」という。

 AWSの参入が、ビデオ会議やユニファイドコミュニケーション市場をどう変えるのか、これが、より大きな図でIaaS、PaaS、SaaSの競争にどんな影響を与えるのか――。今後の注目点となる。