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AWSとMicrosoftが圧倒、調査会社のIaaS市場レポート

別の調査ではIBMが3位

 GartnerとSynergy Researchの大きな評価の違いは、評価基準の違いから来ているようだ。Gartnerが総合的・主観的であるのに対し、Synergyの評価は売上などの数字に基づいているためとみられるという。

 Synergyの市場シェア調査では、AWSの31%、Microsoftの11%に次いで、8%でIBMが3位につけている。Gartnerでは3位的なポジションだったGoogleは5%で4位だ。

 Wall Street Journalによると、SynergyのIBMの高評価はホスティング型のプライベートクラウドサービスが強いためで、この分野はGartnerの評価では加味されていなかった。Gartnerの基準はパブリッククラウドのIaaSがメインで、PaaSやSaaSは含まれていない。Synergyの基準は、PaaSやクラウドで提供するサービスも含まれており、IBMはここに「Watson」、ブロックチェーン、IoTなどを持っている。

 もちろん、IBMにとってはGartnerよりもSynergyの方が好ましい。IBMのクラウド事業を統括するRobert Le Blanc氏はGartnerのレポートを指して、「根本的に欠陥がある」と批判。2016年第2四半期の自社のクラウド事業が30%増で成長したことも強調している。

 このように調査結果が異なる理由の一つとして、ベンダーがそれぞれ自社に都合の良い手法でクラウド事業の業績を報告しているという面があるとWall Street Journalは指摘する。

 Jefferiesのアナリスト、John DiFucci氏はこうコメントしている。「これらクラウドベンダーはいずれも、十分な情報を出していないために、われわれが検証できないようなデータを強調する傾向がある。だが同時に、投資家がそんなデータを好意的に見がちであることも知っているのだ」

  Gartnerによると、インフラサービス関連市場は2016年に、42.3%の成長率が見込まれるという。PaaSの成長率は22.7%、SaaSの成長率は19.5%であり、IaaSの高い成長率とともに、急速に市場が利益率の低い事業になりつつあると指摘している。このことは、規模を強みとするAWSをさらに有利にするかもしれない。