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IntelがVR市場に参入 オープンな「Project Alloy」
2016年8月22日 09:21
Intelが、VR(仮想現実)対応ヘッドセット「Project Alloy」を発表した。自社のカメラ技術に加え、センサーなど必要な機能をひと通り備えたオールインワン型ヘッドセットで、リアルとバーチャルを合わせた“マージドリアリティ(merged reality)”をうたう。先行するOculus RiftやHTC Viveを追って、立ち上がり期のVR市場に挑む格好だが、IntelのPCからの脱却という狙いもある戦略的な動きだ。
初のオールインワン型本格VRヘッドセット
Project Alloyは、3Dカメラ、センサーを備え、外付けのPCなしで動作する。VRに必要なものを含むヘッドセット型端末だ。奥行き認識機能を持つ3Dカメラ「RealSense」は、1080p HDカメラ、赤外線カメラ、赤外線レーザー・プロジェクターなどで構成される。これによって、ユーザーがいる場所、周囲にあるもの、それにユーザーの手などを感知・追跡できる。
これを利用したProject Alloyでは、現実世界にあるものを仮想世界の中で動かすことなどが可能という。「視界とコンピューティングが組み合わさり、デバイスが環境を理解し、それに対応できる」とIntelのCEO、Brian Krzanich氏は説明し、「マージドリアリティ」と呼んだ。
IntelはProject Alloyプラットフォームをオープンソースで公開する。8月中旬の発表の場では、MicrosoftのWindows&デバイス事業部トップTerry Myerson氏も登場し、Microsoftが進める「Windows Holographic」をProject Alloy上で動くようにする計画なども発表した。
VRヘッドセットには FacebookのOculus Rift、HTC Viveなどがあるが、Project Alloyが他と大きく異なるのは、オールインワン型である点だ。VRでは高い解像度の動画を高速に処理するため、高い処理性能が要求される。他のVRヘッドセットは外付けの高性能PCを利用するが、Project Alloyは単体で動作する。そのためケーブルもない。
Gartnerのアナリスト、Brian Blau氏は「このオールインワンというフォームファクタは、VR業界にとって新しいものだ。必要なものが1つに収まっており、移動が簡単。非常に新鮮だ」とTechNewsWorldにコメントしている。
すっきりとしたデザインとモバイル性が高まった一方で、デスクトップPCの処理能力を借りない分、性能面で劣ることが心配されるが、IntelのKrzanich氏は「人々がVRでやることの90%のニーズを満たす」と述べている。
なお、TechNewsWorldは、ハイエンドのゲーム愛好家向けに、PCとテザリングするAlloyのバージョンが登場する可能性があるとしている。一方でオールインワン型ではバッテリーの持続性も懸念ポイントに挙げている。
IntelはProject Alloyの製品化を2017年後半としており、詳細な技術スペックなどは今後公表してゆく予定だ。