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IaaSとSaaSの大手が接近、SalesforceとAWSの提携拡大

IBMとSAPに代わってAWSとSalesforce?

 今回の提携強化は、IaaS分野の競合という点では、Google、Microsoft、IBMなどのIaaSがある中で、AWSがまた一歩優位性を示した格好となった。

 ZDNetは、オンプレミス時代にハードウェアインフラのIBMと、業務アプリケーションのSAPがコンサルやITサービスを含む密な関係を築いていたとし、「IBMとSAPの新時代版は、これまでとは違う角度を持ったAWSとSalesforceになる」と予言する。

 ITの購入・調達という点で、SalesforceはAWSに一種の“お墨付き”を与えた格好となり、これを受けて他の企業もAWSを最初に検討するプロバイダとしてみるだろうという。「最終的に、AWSとSalesforceは事前に統合済みのエンタープライズ向けスタックに進化する可能性がある」とZDNetはみる。そして、今後、自社のAWSをSalesforce実装に持ち込むパターンが増えてくると予想する。

 一方で、同じクラウド同士でもAWSから離れることを選んだクラウドサービスもある。Dropboxは3月、これまで利用していた「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」をはじめとしたAWSの利用を抑え、自社でデータセンターを構築する計画を明らかにした。プロバイダを利用するより、自社でインフラを構築する方がスケールメリットが生まれ、コストの削減につながるとの判断だという。

 SalesforceとAWSの提携拡大は、パブリッククラウドが、AWSを軸に動いていることをまたも印象づけた。クラウドとの付き合い方で、企業の考え方が別れ始めていることは興味深い。Salesforceの10億ドル企業にAWSは貢献するのか、さらには2社がクラウド時代のエンタープライズの主流となるのか――。引き続き注目だ。