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IaaSとSaaSの大手が接近、SalesforceとAWSの提携拡大

Oracle離れにつながるか

 Salesforceは既に、AWSをアプリ開発プラットフォームの「Heroku」で利用してきた。ほかにも、SMB向けのSalesforce IQ、HerokuベースのIoT CloudなどもAWSをベースとしているが、これを中核のSaaSの国際展開にも拡大することになる。

 同社はこれまで、中核製品は自社のデータセンターで動かしてきたが、AWSは9カ国にデータセンターを持ち、12地理的なリージョン、33のアベイラビリティゾーンを持つ。これだけの地理的規模のインフラを自社で構築するとなるとコストと時間の両方で負担が大きいが、AWSのIaaSを利用すれば迅速に展開可能となる。

 Parker氏は「自社のデータセンターへの投資も継続する」としているが、FortuneはSalesforceが目標とする年商100億ドル企業の実現に、AWSのIaaS利用がおおいに関係があるとみている。

 一方、AWS採用の拡大は、Salesforceのデータセンターでデータベースとして採用されているOracleにとっては、打撃となるかもしれない。

 Fortuneは、AWSが自社ブランドのデータベースをはじめ、Oracle、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQLなど多様なサーバーをサポートしていることを挙げながら、「AWSに移行することがすぐにデータベースの(Oracleからの)変更とはならないかもしれないが、移行が簡単になることは確かだ」とした。

 なお、ZDNetはAWSの人気製品としてリレーショナルデータベースの「RDS」「Simple DB」「DynamoDB」の3つのデータベースサービスがそれぞれ8位、15位、16位であることに触れ、「AWSはデータベースの新しいワークロードを着実に取り込んでいる」とする。そして、「今回の(SalesforceとAWSの)提携はインフラだが、次はデータベースになってもおかしくない」とした。

 IDCのアナリスト、Al Hilwa氏は「中核であるビジネスのスタックを多様化するために段階的なシフトを行う可能性があるが、時間がかかるだろう」とZDNetに述べている。