クラウド特捜部

JunoリリースでOpenStack採用が加速する?

次期リリースKiloもまもなく登場

次期リリースKiloでの機能追加

 4月末公開予定とされている、Junoの次のKilo(キロ)リリースでは、Ironicというプロジェクト名で進んでいたベアメタルサーバーのサポートが行われる。

 当初OpenStackには、Novaで独自にインプリメントされたベアメタルドライバが用意されていたが、Ironicでは各ハイパーバイザーと同じく、Novaの管理下で別モジュールとして動作するように変更される。このため、Junoでは、Ironicに対応するためにベアメタルドライバが追加されている。

 さらにKiloでは、本格的にIronicがサポートされ、Compute部はハイパーバイザー下の仮想プロセッサでも、ベアメタル下の物理プロセッサでも、自由に選択できるようになる。

Novaでは、JunoリリースからIronicドライバが追加されている。Kiloリリースに向けた強化だ
Novaは各種のハイパーバイザーに対応している。KiloではIronicをサポートするため、旧来のNovaベアメタルドライバは廃止される予定

 kiloで追加される新機能としては、Ironicが目玉になると言われているが、これ以外にも育成プロジェクトとして、Queue Service(MQaaS)を提供するZaqar、暗号鍵などを管理するKey ManagementのBarbican、DNS Service(DNSaaS)を提供するDesignate、共有ファイルシステムのサービスを提供するManila、各プロジェクト間でのコード共有化のOslo、OpenStackインストーラのTripleO、開発者向けのOpenStackインストーラのDevStackなどの開発が進んでいる。

 これらのプロジェクトは、どの段階で正式にサポートされるのかは未定だが、このところのOpenStackのリリースを見ていると、1リリースに1つの新機能という考え方で進んでいるようだ。

OpenStackの育成プロジェクト。DNSもサービスとして提供しようとしている
OpenStackでは、今後正式プロジェクトと育成プロジェクトという名称を廃止して、育成プロジェクトから正式プロジェクトへの移行をはっきりして、リリースへの採用時期をはっきりしていく

*****

 これまでのリリースで、仮想ネットワークのNeutron、ダッシュボードのHorizon、テレメータのCeilometer、認証システムのKeystoneなど、さまざまな機能が追加されてきているが、リリースによっては機能として不完全だったり、動作が安定しないモジュールもあった。

 しかし前述したように、今後はリリースごとに大きな新機能追加を行うよりも、高い安定性、信頼性を目指し、既存のハードウェアやソフトウェアとの連携性を高めるようなリリース提供になってくるだろう。

 実際、こういった状況に合わせて、OpenStack FoundationのWebサイトでは、Marketplaceというエリアが追加されている。Marketplaceでは、多くのベンダーからリリースされているディストリビューションやアプライアンス、トレーニングサービスやコンサルティングやインテグレータ、OpenStackベースのパブリッククラウド/ホステッド・プライベートクラウド、各ハードウェア向けのドライバなどが紹介されている。

 今後は、OpenStackをどのように使っていくのか、どのように導入していくのかという普及フェーズに入っていくのだろう。普及フェーズにおいては、新しいリリースが出たときに、構築済みのクラウドをストップせずにアップデートしていく機能、OpenStackよりも上位レイヤーとなるPaaS(Cloud Foundryなど)が重要になってくるだろう。

 なお、OpenStackにおいて、最も重要なOpenStack Summitが、10月に東京で開催される。ここでは、OpenStackの採用事例だけでなく、技術的なセッションなども数多く開催される。また、同時にOpenStackのロードマップに関して話し合うDesign Summitも開催されるため、将来のOpenStackを知るいいチャンスだろう。

山本 雅史