クラウド特捜部
新しいサービスを提案するAmazon Web Services
(2014/12/18 06:00)
その他の新サービス
今まで解説した新サービス以外に、DevOpsのライフサイクルをサポートするために、Code Deploy(デプロイ)、Code Pipeline(テスト、ビルド)、Code Commit(コーディング)などサービスが追加された。既存のCloud Watch(監視)、Cloud Formation(プロビジョニング)などを合わせれば、AWS上でのDevOpsのライフサイクルが完成する。
AWS Key Management Serviceは、暗号鍵の作成、セキュアに鍵管理を行うサービスだ。例えば、EBSボリューム、S3オブジェクト、Redshiftクラスタなどの暗号化に使われる暗号鍵の管理などが一元的に行える。
AWS Configは、AWSのリソースの設定や設定変更に関する情報を管理したり、変更通知を行ったりするもの。例えば、セキュリティグループのルールやネットワークACLUのルール変更などの情報を記録して、状態を把握したり、変更履歴を確認したりすることができる。
AWS Service Catalogでは、システム構成情報をカタログ化して、ユーザーがカタログから簡単にシステムを作成できるようにする。企業がAWSのシステムのテンプレートを作成して、カタログとして登録しておけば、いちいちIT管理者がシステム構成を設定しなくても、各部門のユーザーがカタログからシステムを選択して巻単位利用できる。この時、カタログから選択したシステムは、その企業のルールにのっとったシステムが作成される(クラウド構築ソフトなどにあるセルフポータル機能と同じようなモノといえる)。
これ以外にも、Amazon EC2に高パフォーマンスの新しいインタンス「C4」が登場した。C4は、Xeon E5 2666 v3プロセッサを使用し、最大36仮想CPU、EBS最適化オプションが標準で装備されている。
なお、C4で採用されているXeonは、AWS向けのカスタムプロセッサとなっている。実際、Intelのプロセッサカタログ(Intel Ark)で検索してみるとE5-2666 v3というプロセッサは存在しない。一番近い型番としては、E5-2667 v3があるが、このプロセッサは8コア/16スレッドで、3.2GHz動作(ブースト時3.6GHz)だ。しかしE5-2666 v3は、動作クロックを低くして、コア数を増やしているようだ(18コア/36スレッド)。プロセッサとしては、最上位のE5-2699 v3(18コア/36スレッド、2.3GHz動作/ターボ時3.6GHz)の動作クロックなどを変更したモノかもしれない。Xeonの内部のインストラクションなどはカスタマイズされているわけではないようだ。
ちなみにIntelでは、AWS以外にもGoogle、Facebookといった大規模なユーザーに向けては、カスタムプロセッサを提供している。
このほか、EBSにおいても、大容量で高速なボリュームが提供されている。
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今回の新サービス発表を見ていると、AWSは、IaaSやPaaSといったカテゴリを超え、クラウドならでは、AWSならではの独自サービスを提供するようになってきた、といえる。以前、クラウド構築ソフトなどが、AWS互換などを打ち出していたが、EC2やS3などに関しては、互換性を持たせることができても、AWS独自のサービスまで互換性を持たせることはできないだろう。
デベロッパーにとっては、AWSの各種サービスを利用すると、高い信頼性とパフォーマンスを持つアプリケーションを素早く開発できるようになったといえる。これだけのサービスインフラを持つAWSは驚くべきものだ。ただ、AWSにディペンドすると、AWS以外のクラウドは利用できなくなってしまう点が懸念される。