クラウド特捜部
Windows Azureベースのサービス提供を加速するMicrosoft~Build 2013での発表を振り返る (システム間を連携させるWindows Azure BizTalk Services)
(2013/7/19 00:00)
システム間を連携させるWindows Azure BizTalk Services
このほか、6月初旬にニューオリンズで開催されたTech Ed North America 2013において発表された、Windows Azure BizTalk Servicesも紹介された。
Windows Azure BizTalk Servicesは、言ってしまえば、オンプレミスで提供されているBizTalk ServerをWindows Azureのクラウド上でサービスとして提供したものだ。
Windows Azure BizTalk Serviceを使うと、例えば社内の業務システムのSAPとSaaSとして提供されているサービスを連携させることができる。
デモでは、架空のビジネストラベルサイトと社内のSAPシステムを接続し、出張の飛行機予約を行う時に、平社員がファーストクラスを予約しようとしてアラートが表示されるところを見せた。
このシステムでは、トラベルシステムからの情報を、Windows Azure BizTalk Servicesが社内のSAPシステムへ接続しているが、平社員が決裁できる上限が越えているため、アラートを出し、その社員の上司にメールを送信していた。
このように、業務フローをVisioライクなフローチャートで記述するだけで、複雑なシステムが構築できる。
Microsoftにとって、Windows Azureは非常に重要なサービスとなってきている。これは、パートナーやユーザーに提供するパブリッククラウドという面だけでなく、Microsoft自身が提供するさまざまなソフトウェア、サービスもWindows Azureを利用しているからだ。ある意味、Windows Azureを最もヘビーに利用しているのは、Microsoft自身なのかもしれない。
実際、現在開発が進められているXbox One用のHaloでは、Windows Azureの利用を前提として、ゲームの全体マップ、NPCなどの人工知能プログラミング、ユーザーの相互作用などを実現している。
Haloは、欧米で大人気タイトルとなっているということを考えれば、今までのクラウドサービスとは、けた違いの大規模なモノとなる。このため、Haloのバックエンドの開発には、Microsoftの研究部門、Microsoft ResearchのeXterm Computing Groupのスタッフがかかわっている。
またWindows 8.1でも、クラウドストレージのSkyDriveとの統合を行っているほか、Bingの各種機能をAPIとして提供することなどを考えていけば、今後、クライアントOSのWindows自体も、スタンドアロンで動作するOSではなく、バックエンドのクラウド、つまりWindows Azureと連携して動作する、ハイブリッド型のクライアントOSになっていくのかもしれない。
その時、企業のオンプレミスサーバーの台数は少なくなっているかもしれない。ID管理、業務システム、経理データなどのクラウドに出せないデータやシステムだけがオンプレミスに残り、ほかのITシステムはクラウドへと移行していく、といった方向性も考えられるだろう。