Windows Server 2012研究所

Windows Server 2012 R2の使命は「クラウドOSビジョン」と「Server 2003からの移行促進」

 Windows Server 2012 R2は、Windows 8カーネルを採用したWindows Server 2012のリリースからわずか1年という、エンタープライズでの利用を考えると信じられないほどの短期間で登場した。

 さらに、Microsoftでは、Windows 8以降、ラピッドリリースというコンセプトを打ち出し、OSのリリースサイクルを速めていこうとしている。こういったことは、企業にとって大きな問題となってきそうだ。

 そこで、日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 シニアエクゼクティブプロダクトマネージャーの藤本浩司氏に、Windows Server 2012 R2が持つ意味や、今後の提供体制などについての話を聞いた。

Windows Server 2012で動くアプリの9割はそのまま動作

――Windows Server 2012 R2は、どうしてWindows Server 2012から1年という短期間でリリースされたのですか?

日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 シニアエクゼクティブプロダクトマネージャーの藤本浩司氏

 それを説明する前に、まず、基本的なことに関してお話ししておきたいんです。

 Windows Server 2012 R2は、基本的にAPIに関してはWindows Server 2012から変わってはいませんし、OSの本体(カーネル)部分は、ほとんど変わりません。上位のサービス部分で、さまざまな機能が追加されています。このことから見れば、Windows Server 2012 R2はWindows Server 2012のSP1的なもの、といえるかもしれません。

 OS本体がほとんど変わっていないため、Windows Server 2012ベースでテストされたアプリケーションのほとんどは、Windows Server 2012 R2で動作します。当社側からは、アプリケーションの互換性に関して積極的に情報を出してはいませんでしたが、今後はより積極的に情報を出していきたいと思っています。

 実際には、Windows Server 2012で動作しているアプリケーションの9割以上は、何も変更せずにWindows Server 2012 R2で動作します。残りの1割も、少しの変更でWindows Server 2012 R2上で動作します。

 だから、Windows Server 2012 R2を利用する企業方々は、安心してほしいんです。国内の企業では、新しいOSがリリースされた時には、厳密な動作チェックを行いますが、先ほどご説明したように、Windows Server 2012とAPI部分では大きな変化はないため、メジャーバージョンアップ時ほど、社内で細かい動作チェックや互換性チェックを行わなくても大丈夫だと思います。

 日本の企業は、こういった部分を重視するため、まったくテストをしないという訳にはいかないかもしれませんが、Windows Server 2003からWindows Server 2008へのアップデートのような、長期にわたる検証作業は、なくても大丈夫と考えています。

(山本 雅史)