クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

柔軟なスケールアウト拡張を可能にしたコンバージドインフラ「FlexPod SF」

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2017年秋号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年9月29日
定価:本体2000円+税

両社の製品・技術を融合したコンバージドインフラ

写真1:FlexPod SF 9608

 シスコシステムズとネットアップは2017年7月10日、両社が共同開発する統合インフラ(コンバージドインフラ)製品「FlexPod」シリーズの新モデル「FlexPod SF」の提供を開始した。

 FlexPod SFは、シスコの「Cisco Unified Computing System(UCS)Bシリーズ」サーバー、「Cisco Nexus」スイッチに、ネットアップのスケールアウト型クラウド接続オールフラッシュストレージの「NetApp SolidFire」を組み合わせて構成したモデル。マルチテナント環境で個々のテナント(顧客組織、自社エンドユーザー部門など)のニーズに合わせて、ストレージ容量やパフォーマンスをスケールアウト型で柔軟に調整できるようになっている。

 サービスレベル契約(SLA)に基づいて、単一プラットフォームで数百のアプリケーションを確実に実行でき、より多くのアプリケーションを統合することが可能、インフラ全体の容量とサービス品質を個別に設定することもできる。

 ネットアップによれば、SolidFireに備わるQoS(Quality of Service)機能によって、多種多様なトラフィックが混在する環境でも、レスポンス低下やレイテンシ増大などの悪影響を与えることがなく、ストレージパフォーマンスに関する問題の93%を解消し、ユーザー満足度の向上を図れるという。

 また、インフラのどのレベルにも単一点障害(Single Point of Failure)が存在しないため、計画外停止を89%減少でき、物理レイヤや仮想レイヤで障害が発生した場合も、ハードウェアベースのフェイルオーバーがシームレスに提供される。

 SolidFireとUCS Bシリーズの組み合わせによって、プロビジョニング、管理、レポートなどを自動化することが可能になった。SolidFireは、Software Definedアーキテクチャ、シンプルな管理、高い拡張性を特徴としており、さまざまなビジネスニーズに対応することができる。

図1:FlexPod SFのアーキテクチャ(出典:シスコシステムズ/ネットアップ)

 UCSについてシスコは、運用開始までの時間を最大で56%短縮すると同時に、業務アプリケーションを提供するエンドユーザー数を最大59%まで増加可能だとしている。さらに、SolidFireストレージを独立したストレージノードとすることで、VMの導入時間を最大5倍まで短縮できるとともに、需要に合わせて柔軟に拡張できる機能を有している。

 FlexPod SFの柔軟性の高さとスケールアウト性能によって、企業やサービス事業者は初期の設備投資を削減でき、ビジネスの成長に合わせた投資を行えるようになる。必要な時に必要なコンピュート/ストレージリソースを拡張できるため、少ない運用コストでパフォーマンス調整を行え、ITインフラのコストを削減する。また、インフラの統合、自動化、アプリケーション配信の高速化などのメリットも得られるとしている。

 FlexPod SFの管理には、「VMware vCenter」プラグイン、「Microsoft PowerShell」、「SPBM(Storage-Policy-Based Management)」、「VMware vRealize Suite」を利用でき、管理の効率化を図るとともに、遅延やダウンタイムの原因になりかねない人的エラーのリスクを抑制できるようになる。また、オープンAPIを通じて上記以外の管理プラットフォームも利用が可能だ。

クラウド&データセンター完全ガイド2017年秋号