クラウド&データセンター完全ガイド:データセンターサービスガイド
都心近郊で高い信頼性と電力効率を実現した新DC BCPオフィスとしての利用にも期待――三菱商事
2014年9月30日 00:00
MCC三鷹ビル
三菱商事株式会社
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/
三鷹の地で1985年から30年間安定してデータセンターを運用してきた三菱商事が、2013年10月、最新の技術・設備を採用した「サウス棟」を新設した。都心近郊としては初となる「完全外気冷房」システムを採用し、高い電力効率を誇るとともに、近年注目を集めるBCPオフィスとしての利用も期待される。
都市型の好立地なロケーションと外気空調を取り入れた最新設備
三菱商事が運営するデータセンター「MCC三鷹ビル」は、1985年から30年間安定して運営されてきた。
2013年10月、従来の「ノース棟」に加えて、最新の技術・設備を採用し、これまで以上の耐震性と安全性、ユーザーの多様かつ高度なニーズに応える柔軟性を実現した「サウス棟」がローンチされた。サウス棟の延床面積は約1万4600m2、ノース棟と併せた総延床面積は約4万m2と、都心近郊では有数の規模のデータセンターとなる。
MCC三鷹ビルは、JR中央線や京王線の各駅や、中央自動車道のインターチェンジからもほど近く、都心部のオフィスからすぐに駆けつけることのできる好立地である。活断層がなく、海岸線からも遠く、水害や液状化がない堅牢な武蔵野台地の地盤上に建設されているほか、近隣に発電所やガスタンクなどの大規模エネルギー施設はなく、航空路にも沿ってないため、事故・災害のリスクが非常に小さい。
三菱商事 ITサービス事業本部 ITサービス事業企画部 ITO事業チーム チームリーダーの小川浩史氏は、「1985年の建設当初から、三鷹エリアは災害リスクの小さい土地として注目されていました。2011年の大震災のときにも事故はなく、また交通が規制されることもなく、安定性・堅牢性が証明されました」と述べている。
サウス棟のファシリティは、日本データセンター協会(JDCC)の定める最高レベルの指標となるティア4に準拠しており、「弾性すべり支承」や「積層ゴム支承」といった最新型の免震システムの採用によって、PML3.0(設計値)を実現した。PMLとは、災害時における予想最大損失率のことで、震度7規模の大災害でも建屋の損失が3%に留まるという意味である。ちなみに、通常の耐震型オフィスの場合でPMLは20前後、優れたデータセンター施設でもPML10前後が一般的であることから見ても、同棟の堅牢性がよくわかるだろう。
「有事の際には、連続72時間運転が可能な自家発電設備を備えています。加えて、グループ会社の三菱商事石油から優先的に燃料の供給を受ける体制も整えており、大災害でも電力供給がストップすることはないと自負しています」と、小川氏と同じチームでシニアマネージャーを務める竹村朗氏は語る。
これらの電源施設に加えて注目したいのが、都心近郊のデータセンターとしては初となる「完全外気空調」の採用だ。もともと北海道などの冷涼な地域で培われてきた外気空調技術に加え、都心部向けの工夫を随所に採用したことで、年間稼働時間の70%を外気に頼ることができる。外気温(冬期・中間期・夏期)と、加湿(有・無)の6パターンの組み合わせと、地中熱や屋上機器への散水などの取り組みにより、従来型データセンターに比べ消費電力を約3割削減し、最高効率でPUE1.22を実現している。
さらに、屋上緑化や雨水利用などのエコロジー対策も重視した結果、サウス棟全体の環境総合性能評価(CASBEE)はトップレベルのSランクに準拠している。
ITO事業チームの喜多見美希氏は、「完全外気空調の場合、壁面に設備が露出してしまい、そのままでは三鷹の街にそぐわない景観になってしまいます。そこで当社は、外壁の意匠にも気を配り、近隣にも優しいデータセンターを目指しました」と胸を張る。
万全のサービス体制で安全・安心の運用を提供
セキュリティ面も万全だ。セキュリティゲートやICカードリーダー、監視カメラなどをはじめとした最新のセキュリティ設備に加え、24時間365日の有人による監視・巡回で安全性を確保している。コロケーションサービス向けには、不要なデバイスの持ち込みなどを厳しくチェックしたり、サークルゲートや生体認証システムを設置したりと、ニーズに応じてセキュリティレベルを設定することも可能だ。金融機関などの厳しい規準をクリアしなければならないケースにおいてもフレキシブルに対応できる。
こうした施設サービスについては、ノース棟で30年にわたって運用監視の実績を積んでいる関連会社の日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)の常駐スタッフらが、24時間365日の万全の体制で運用に望んでおり、高い信頼性と柔軟性を誇っている。
「日本TCSでは、コマンドレベルのオペレーションサービスだけでなく、ユーザーが駆けつけるべきSEレベルであっても作業を代行できる優秀なエンジニアが常駐しています。場合によっては、アプリケーションの運用もお任せいただけるよう、さまざまなメニューを用意しています」(小川氏)という。
サウス棟は完全なシステム収容設備に特化し、その他の設備は一切排除する一方で、スタッフが快適に過ごすための会議室やオープンスペース、カフェ、リフレッシュルームなどの充実した設備がノース棟に配備されており、快適な業務環境を提供している。
竹村氏は、「例えばスタートアップのサービスベンダーが通常のオフィスとして利用してもよいでしょう。大規模なオフィスを収容することもでき、電力供給だけでなく飲食料も豊富に備蓄しているため、有事の際のBCPオフィスとして活用することも可能です」と語る。
都心からアクセスがよく、災害に強いロケーション。免震構造のほか、完全外気の最新エコロジー設備が採用され、高度な運営体制で、大災害でも無停止の運用が期待できる。データセンター選びのポイントのすべてを高水準でクリアするMCC三鷹ビルは、ぜひ選定リストに加えたい施設の1つだ。
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