クラウド&データセンター完全ガイド:データセンターサービスガイド
OSSとカスタムサーバーの事業支援パックを提供開始 第一弾は分散ファイルシステム「GlusterFS」――NTTPCコミュニケーションズ
2014年9月30日 00:00
ハイエンドサーバーソリューション
NTTPCコミュニケーションズ
http://www.nttpc.co.jp/
NTTPCコミュニケーションズは、Supermicro社のハイパフォーマンスサーバーにOSSやSEを付加したソリューションの提供を開始した。ユーザーの利用目的にあわせ、メジャーベンダーの機器ではコスト高になるソリューションを、ハード・ソフト・SEを一体化して低コストで提供、自社DC利用のみでなく、オンプレミスや他事業者DC利用にも柔軟に対応する。
ハイパフォーマンスサーバーを核としたソリューション
データセンターサービスで実績のあるNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)が、ハイパフォーマンスサーバーを中心に据えた新しいソリューションの提供を開始した。
ソリューションの核となるのはSupermicro社のサーバーだ。同社は米国のベンダーで、エンタープライズ向けのマザーボードやPCサーバーを製品やOEMで提供、特にデュアルCPU以上のハイエンド製品を得意としている。日本でも安定したハイパフォーマンスから多くの企業で採用されている。
同社のサーバーの特長は、メジャーなサーバーベンダーの製品では対応が難しい、目的や用途に合わせたカスタマイズによるハイパフォーマンスを実現できる点だ。
NTTPCは2009年よりSupermicro社の正規代理店として、顧客のニーズにあわせて個別対応で提供してきたが、新事業立ち上げ時などのマイグレーションニーズで高性能のサーバー製品のニーズが増加してきたため、今回、ソリューションパックとしての提供に踏み切った。
Supermicro社の純正サーバーの保証は標準で1年、有償で3年の選択だが、NTTPCは有償の5年保証を提供している。この補償には無償部品交換とメーカーエンジニアサポートが含まれているため、長期のビジネス利用にも安心して採用できる。また、Supermicro社は日本国内での保守を提供していないが、NTTPCがSupermicro社の協力のもと、日本全国で24時間365日のオンサイト保守や技術サポートなどを提供。さらに、Supermicro社への部品の供給元であるIntelや東芝などから定期的に情報を得ることで、自社サポートの強化に取り組んでいる。
NTTPCではハードウェアの提供にとどまらず、顧客の利用目的にあわせたOSSなどを付加し、SEまで一体化したソリューションとして提供している。現在、ソリューションパックのなかで問合せが多いのは、大規模ストレージサーバーの冗長化を低コストで実現できる高集積ストレージサーバーのソリューションと、クラウドゲーミングの提供に実力を発揮するGPUサーバーだ。
大容量冗長分散を実現するGlusterFSソリューションパック
高集積ストレージサーバーのソリューションはSupermicro社のサーバーに、オープンソースの分散ファイルシステムGlusterFSを組み合わせたOSSソリューションパック「GlusterFSパック」だ。
ストレージサーバーは4U筐体で最大216TBのHDDを搭載可能。CPUにIntel社Xeon E5-2600/E5-2600v2シリーズを2基、メモリ標準32GB(最大1.5TB)搭載で、RAIDカードはLSI社のハードウェアRAIDコントローラを搭載。NIC(EtherやInfiniBand)やBattery BackupUNITの追加も可能だ。
GlusterFSの特長を「複数ノードのサーバーを一つの巨大なボリュームに見せることのできる分散ファイルシステムですが、中央サーバーがなく各ノードが管理情報を複製・分散・共有しているため、単一障害点を排除でき、設備や運用コストを抑えることができます。また、容量だけでなくスループットもリニアにスケールできるため、特に画像や動画を扱うサービスでの導入に向いています」と説明するのは、NTTPCのネットワーク事業部 技術開発部 システム開発担当の高橋敬祐氏だ。高橋氏は、IntelやCitrixなどの企業が名を連ねるGlusterFS コミュニティのアドバイザリボードメンバーで、日本語ドキュメントがまだ不十分なGlusterFSのサポートには心強い存在だ。
GlusterFSは障害が起きてもデータ保全性が高いこともあり、すでにエンタープライズや官公庁でも採用が始まっている。データセンタ事業部 エンタープライズサービス部 システムインテグレーション担当の菊池隆寛氏は、「当社では、1台150TB以上のストレージサーバーを冗長化提供するなど、大手サーバーベンダーの標準的なハードウェアでは難しい機能やパフォーマンスを低コストで製品提供することが可能です。従来の構成ではコストが数億円ほどかかるものを、当社なら数千万円ほどの価格で構築できます」と、Supermicro社サーバーとOSSの組み合わせによる高いコストメリットを語る。
コンシューマ用GPUカード利用でクラウドゲーミング基盤を提供
もうひとつ注目したいソリューションが、クラウドゲーミングプラットフォームとして威力を発揮するGPUサーバーだ。Supermicro社にNTTPCが特注した専用モデルで、2UTwinサーバーをベースに、FANの強化、電源ユニットの変更、BIOS調整を行い、GeForce GTXシリーズを搭載できるようにした。同サーバーは、2ユニットに2ノード搭載でき、GPUとしては既存比較で4分の1となり、ラックの利用効率にも優れている。ストリーミング系のクラウドゲーミングサービス提供にあたり、レンダリング用のGPUでは能力的に問題があるため、コンシューマ用の高性能GPUであるGeForceの利用を可能にした。ファームウェア管理やバージョンを維持したいといったユーザーの要望に応え、マザーボードをバージョンアップしても、低いバージョンのファームウェアを入れることができるよう特別仕様になっており、運用性に優れている。
NTTPCではSEも一体化したソリューションとして提供し、IaaSモデルとして同社のデータセンターや回線を組み合わせることも可能で、十分なパフォーマンスを期待できる。
今後はビッグデータに向けたソリューションも検討
GlusterFSパックはOSSのソリューションパックの第一弾として提供されているが、今後、OpenStackなどGlusterFS以外のOSSと組み合わせによるソリューションの提供も計画されている。
そのほか検討されているのが、ビッグデータのデータクレンジングに向けたソリューションだ。
「ビッグデータについては、2016年にパーソナルデータの活用についての法改正が予定されており、特にデータの利活用に注目が集まっています。これに向けてデータクレンジングパック(仮称)を検討しています。データの整形や異常値処理、匿名化などを受け持つソリューションになる予定です」(高橋氏)
NTTPCのOSSソリューションパックは、同社のソフト・物販・ハウジングのノウハウを融合させたものだが、データセンタ事業部 エンタープライズサービス部 システムエンジニアリング担当課長の岡本洋一氏は、「NTTPCのデータセンターでの利用には決してこだわっていません。ユーザーのオンプレミスや他事業者のデータセンターでもお役にたてるソリューションだと考えています。ぜひ一度ご相談ください」と話す。
お問い合わせ先
株式会社NTTPCコミュニケーションズ
0120-725-861(受付時間 9:30~18:00 土日祝日・年末年始を除く)
sym@arena.ne.jp