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「クラウドでも絶対に逃げない」、エンタープライズに信頼されるマイクロソフトを目指す~樋口社長
(2014/7/2 15:44)
日本マイクロソフト株式会社は2日、2014年度の報告と、2015年度(2015年6月期)の重点施策を説明する記者会見を開催。代表執行役社長の樋口泰行氏は、「『日本市場に根ざし、一企業市民として貢献できる企業に』と言い続けていく。モバイルファースト、クラウドファーストを加速しつつ、ビジネスを推進する」と2015年度の方針を説明した。
樋口社長は2014年度について、「一言でいえば最高の年、着実な成長を遂げた年だ」と振り返る。社会的な影響度という点では、2014年度はWindows XPのサポート終了という大きなできごとがあり、PCや周辺システムの更改が進んだため、2014年度の日本マイクロソフトのビジネスは、大きな伸長を見せた。
PCそのものはもちろんのこと、タブレット端末についても、「2年前は店頭におけるシェアはほぼゼロ、1年前が約10%だったのに対し、2014年1~3月は約30.5%と、30%超えるところまで来た。年度内(2015年6月まで)には、過半数のシェアを取りたいという気持ちだ」との成果をアピールする。
樋口社長は、Windowsタブレットが伸びた理由を「従来のタブレットはできることが少なく、PCの機能も持っていて、かつタブレットとしても使えるということでないといけない。そういった当社のメッセージが浸透した結果」と分析するが、実際に、こうしたPCとタブレットの統合案件も進んできた。
例えば、ノートPCとタブレットの両端末をMR(医薬情報担当者)に配備していた大塚製薬は、端末1900台をWindows 8.1 Enterprise搭載のデル製タブレットPC1台に一新した。このように端末を一元化すると、端末コストのみならず、サポートや展開、運用、通信といったコストを削減できるメリットがあり、すでに同様の案件がいくつか動き出しているとのこと。日本マイクロソフトでは2015年度も、予約好調が伝えられる自社端末のSurface Pro 3と、この事例のようなサードパーティの端末を合わせ、タブレット市場でのプレゼンス拡大を目指して活動をしていくという。
またクラウド分野では、Microsoft Azureで待望の日本データセンターができ、クラウドビジネスの進展という点でも大きなマイルストーンになっている。この日本データセンター開設によって、レイテンシの削減といった性能面が改善されたほか、制約上、データを国外に持ち出せない企業・自治体でもMicrosoft Azureを利用できるようになった。
一方で、「日本に根付いた企業になる、日本で信頼される企業になる」というのは、樋口社長がずっと言い続けてきたことであり、これは2015年度も変わらない大きな柱の1つだ。大企業として社会貢献が必要なのはもちろんだが、日本マイクロソフトが注力しているエンタープライズビジネス、特にミッションクリティカル分野では、「製品の信頼性も重要だが、会社そのものの信頼性も購買の尺度になっている」(樋口社長)ため、いかに日本社会で信頼される企業になるかということは、ビジネスにとっても大きな重要性を持つ。
そして、これはクラウドビジネスでも変わらない。「当社のエンタープライズ事業では、オンプレミスベースで培ってきた信頼感と体制、品質に関する考え方をクラウド時代になっても引き継ぎ、絶対に逃げない。最後までサポートしていく」とした樋口社長は、クラウドサービスについて、しっかりと信頼性を保っていくことを表明した。
そうしたクラウドサービスの中では、Dynamics CRM Onlineに言及したのが特に目新しいところだろうか。サービス自体は2011年1月から国内でも提供を開始しており、特に新しいものではないが、あらためてこのサービスを前面に出したのは、基盤だけでなく、クラウドにおけるビジネスアプリケーションにおいてもマイクロソフトの存在感をアピールしよう、という意図があるものと見られる。またDynamics CRM Onlineは、Office 365とのクラウド間連携でも強みを発揮できるとアピールしており、樋口社長は「2014年は(Dynamics CRM Onlineに対して)大胆に投資をして、大きなドライブをかけていきたい」とした。実際に、人員の増強やマーケティングへの投資などを行っていく予定だ。
なお、コンシューマ向けについては、コンシューマ向けのOffice 365を、2014年中にも国内で提供開始する予定であることが明らかにされた。詳細は不明ながら、樋口社長は「PCへのプリインストールが好まれるので、それを主軸に日本ではやってきたが、日本市場に最適化した上で、2014年内に提供する」とコメントしている。