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NEC、セーフティ事業をグローバル展開~2017年度に売上1000億円へ
(2013/11/8 06:00)
NECは11月7日、セーフティ事業をグローバル展開するための新体系「Safer Cities(セーファー シティーズ)」を確立し、7つの事業領域において世界共通ソリューションの販売を開始すると発表した。
NECは4月に「2015中期経営計画」で、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する社会ソリューション事業に注力するという指針を発表しているが、そのグローバル成長戦略の柱の1つに「セーフティ事業」を位置づけている。NECは2013年度にセーフティ事業を300億円の売上を見込んでいるが、2017年度には3倍強となる1000億円の売上達成を目指す。
7つの事業領域は、これまでNECが長年にわたって培ってきた競争力のある技術、生体(バイオメトリクス)照合技術や高機能・高性能センサ、ビッグデータによる予知・予兆分析、SDN/Open Flowなど次世代ネットワーク技術などを活用したソリューションとなる。
NECはバイオメトリクス技術をコアに約30年間で世界40カ国500以上のセーフティ関連システムを提供した実績を持つが、グローバル事業展開を加速させるため、今年4月にシンガポールに「グローバルセーフティ事業部(GSD)」を設置。9月にはアジア地域におけるグローバルソリューション研究の拠点として、シンガポールに「NECラボラトリーズシンガポール」(NLS)も開設した。
発表会でNEC執行役員の近藤邦夫氏はNLS開設について、NECで初めて海外に本拠地を置いたラボだと紹介、また社長もNECで初めてシンガポール人が就任したと説明。「Safer Cities」事業でシンガポールに本拠地を据えた理由として、「シンガポールという国は、さまざまな国の人が集まっており、さまざまなコラボレーションが起こっている国。これまでは日本の経験を世界へ売るという海外展開をしてきたが、これからは世界が必要とするものを作っていく」と説明。1つの国や地域で確立されたソリューションを全世界に展開する“One to Many”の世界共通ソリューションを迅速に展開するにはシンガポールが適しているとした。
また近藤氏は、「バイオメトリクスを中心としたシステムでは(米国やフランスの競合企業に)負けてないだろう。Civil IDなどIDを使うシステムでは、人口比ではかなりの人口を扱っており、強い分野だと考えている」と述べ、とくに国民IDや出入国管理、テロ対策といった分野で、世界で最高水準のバイオメトリクス技術を武器に展開していく戦略を示した。
「Safer Cities」における事業領域としては、「国民ID・出入国管理」、「犯罪対策」、「重要施設監視」、「防災・救急」、「行政サービス」、「サイバーセキュリティ」、「省庁間連携」の7つを定義。GSDを中心にグローバル500名体制でソリューションの提供を開始する。
「国民ID・出入国管理」は、指紋照合・顔照合など、バイオメトリクス照合技術をコアに、国民ID及び出入国管理を行うソリューション。国民IDシステム、選挙ID管理システム、出入国管理システム、e-Passport/e-visaシステムなどを提供。
「犯罪対策」は、バイオメトリクス照合技術を中心として監視カメラ映像によるブラックリストの人物検知など、犯罪を未然に防ぎ、治安維持を支援するソリューション。指紋照合ソリューション、犯罪捜査支援システム、ポータブルDNA解析装置顔照合ソリューション、電波監視システム、ナンバー検知システム、サイバー犯罪対応ソリューションなどを提供する。
「重要施設監視」では、空港、港湾、発電所、ガス施設、プラント、浄水場、スタジアムなど被害が社会生活に大きなインパクトを与える重要施設において、犯罪脅威の発生を未然に防ぐエリア監視及び警戒警備のためのソリューション。超高感度カメラ・赤外線センサ・水中センサなどによる高機能センシングシステム、不審行動検知・群衆監視・車両検知などによる映像監視ソリューション、入退管理システム、プラント監視システム、鉄道映像監視システムなどを提供。
「防災・救急」は、地震や津波などの天災を事前に把握し、災害発生時の被害を最小限に押さえ、平常の状態に復旧させるためのソリューション。地震・津波観測システム・災害監視衛星システムなどの災害監視ソリューション、防災情報システム、広域防災ネットワーク、救急クラウドシステムなどが含まれる。
「行政サービス」はNECが長年培ってきたIT/NW技術を活用して、感染症の予防や就労管理など公共の安全・安心につながる行政サービスを支えるソリューション。外国人労働者就業ビザ管理システム、電子政府システム、医療情報ソリューションなどを提供する。
「サイバーセキュリティ」は、ハッキングやサイバー攻撃などの脅威に対し、サイバー空間の安全(Cyber Security)を実現するソリューション。内部インシデント可視化ソリューション、サイバー攻撃監視・分析ソリューション、サイバー攻撃対応演習、サイバーセキュリティコンサルテーションなどを含む。
「省庁間連携」は、自治体や省庁、関係機関など組織間の情報を共有するためのネットワークインフラや、情報の共有によって得られるビッグデータから有用な情報を抽出、提示するデータ分析、可視化ソリューションとなる。