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西鉄ストアの本部基幹システム、Hadoop/Asakusa Frameworkで刷新

AWSも活用しミッションクリティカルシステムをクラウド上に

 株式会社ノーチラス・テクノロジーズは9日、株式会社西鉄ストアの本部基幹システムを刷新し、2013年3月末に全面稼働を開始したと発表した。

 本部基幹システムは、Hadoop/Asakusa Frameworkを利用している。既存システムの機能に加えて業務の生産性向上を行うために機能を大幅に付加しており、これまでより粒度の細かいデータを大量に扱う必要があった。そのため、必要な処理性能の確保に分散処理基盤としてHadoopを活用。また、開発の規模が大きくなることから、開発効率を向上させるためにAsakusa Frameworkを利用した。従来のHadoopでは業務システムの大規模開発が困難だったが、Asakusa Frameworkを利用することで品質・開発効率が向上し、Hadoopでのミッションクリティカルな業務システムの開発が可能になったとしている。

 本部基幹システムは、「売上・売掛金管理システム」「仕入・買掛管理システム」「テナント管理システム」「管理会計システム」の4つのサブシステムから構成される。全体規模は、総画面数で600画面、ジョブグループ数で200グループ、一日で処理するデータ件数は最大で20億件、総開発工数は2年間で600人月弱を要する、「Hadoop/Asakusa Frameworkを利用した基幹系システムとして、現時点で日本最大規模になる」(同社)という。

 一方で、継続的に業務が深化していくことが想定されており、システムへの付加がさらにあがることが明確で、オンプレミスのハードウェアではパフォーマンス/可用性の両面から効率的に稼働できなくなることが危惧されていた。そこで3月の全面稼働時には、オンプレミスからAmazon Web Services(AWS)へ全面移行。AWSに移行することで、従来のコストで2倍のパフォーマンスを得たほか、HA構成を取ることで可用性を確保した。

 西鉄ストア 取締役執行役員の高橋雄一氏は「従来のシステムは相当に老朽化し、また旧来の機能では変化する業務への対応が困難で、全面的なリプレースが必要だった。特に今回のシステムでは、オペレーションの水準を上げ、より細かいレベルでの利益管理を行うために、業界に先がけて個別原価法の仕組みを導入している。この仕組みは非常にデータ処理の付加が高いため、分散処理基盤としてHadoopを選択した。また、従来のオンプレミスではコストパフォーマンスが悪く、システムの可用性に難があったため、全面的にAWSの採用に踏み切った。これにより、機器の調達から構築の短期化が可能となった」とコメントしている。

(川島 弘之)