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富士ゼロックス、紙とマルチメディアを融合するクラウドサービス

機能強化した「お客様価値創造センター」も公開

 富士ゼロックス株式会社は2月4日、紙とマルチメディアを融合するクラウドサービス「SkyDesk Media Switch(スカイデスクメディアスイッチ)」を本日より提供開始すると発表した。併せて2011年2月に開設した「お客様価値創造センター」の機能を強化し、同日から公開したと発表した。

紙とマルチメディアを融合するクラウドサービス

 富士ゼロックスでは、2011年からオフィスのコミュニケーション、コラボレーションにかかわる業務の効率化を支援する「SkyDeskサービス」を提供している。今回、スマートフォンの急速な普及にともない、企業における動画活用が増加しているとともに、動画の視聴環境も整ってきたことを背景に、「SkyDeskサービス」の提供範囲を拡大。新サービスとして「SkyDesk Media Switch」を提供する。

 「SkyDesk Media Switch」は、スマートフォンで印刷物を撮影すると、その画像に紐付けられた動画やWebなどのマルチメディアをスマートフォン上に配信できるしくみを提供するクラウドサービス。印刷物の撮影画像とマルチメディアを紐付ける技術には、同社米国関連会社のFX Palo Alto Laboratory社が研究・開発した類似画像検索技術「Embedded Media Markers」を活用し、独自の編集ツールにより半透明なマーカーを付加することで紙と電子コンテンツの紐付けを実現している。

富士ゼロックス 執行役員 研究技術開発本部長兼新規事業開発部長の大西康昭氏
類似画像検索技術の概要

 富士ゼロックス 執行役員 研究技術開発本部長兼新規事業開発部長の大西康昭氏は、「知の創造のためのツールとして、紙メディアとマルチメディアはそれぞれ異なる役割をもっているが、うまく融合して活用されていないのが実状。そこで、当社のもつドキュメント技術やサービスノウハウを生かし、これらのメディアをつないでスイッチするサービスを提供することで、知の創造と活用を推進していく」と、「SkyDesk Media Switch」の狙いを説明する。

「SkyDesk Media Switch」のサービス内容
「SkyDesk Media Switch」の編集ツール画面

 具体的なサービス内容としては、まず、販促物などの企画、制作、印刷を行っている企業に対して、紙面上の場所とリンク先の情報を指定するだけで紙とマルチメディアを簡単に結びつけることができるツールを提供する。これにより、利用企業は、今までの制作フローを大きく変更することなく、印刷データ(PDFデータ)とインターネットにつながったパソコン、そして出力する印刷機さえあれば、その場で簡単にマルチメディアを活用した印刷物を制作でき、対象の業務、コンテンツに合わせて、紙とマルチメディアを融合させたコミュニケーションが可能となる。

 一方、スマートフォンユーザーに向けては、印刷物を撮影して動画やWebを閲覧するための専用アプリを提供する。このアプリによって、例えば、印刷されたレストランのメニューから素材の情報やレシピの動画を閲覧したり、商品カタログ、チラシなどの紙面から商品紹介映像などを閲覧することができるという。

 今後の展開について大西氏は、「『SkyDesk Media Switch』によって、紙やマルチメディアコンテンツなど、真に届けたい情報をエンドユーザーに届ける手段を提供していく。さらに、コミュニケーションを分析し、エンドユーザーに効果的、選択的に届ける支援も行っていく。また、『SkyDesk Media Switch』を皮切りに、今後もさまざまなメディア関連の技術を活用し、ドキュメントサービス&コミュニケーション領域において付加価値を高めるサービスの提供を目指す」としている。

 「SkyDesk Media Switch」の料金体系は、利用登録料が12万8000円(税別)。コレクション(コンテンツ管理の単位)の継続利用(1年契約)が月額3万2000円、スポット利用(2か月有効。一括)が10万円。

「お客様価値創造センター」を機能強化して公開

 また、同社では、「お客様価値創造センター」の機能を強化し、「スマートクリエーションラボラトリー」(運営:富士ゼロックスシステムサービス)を新たに開設するとともに、「地域コミュニティー活性化」をテーマとしたゾーンを新設し、2月4日に公開した。

富士ゼロックス プロダクションサービス営業本部 マーケティング部長の杉田晴紀氏
「お客様価値創造センター」の強化ポイント

 「『お客様価値創造センター』では、企業全体のマーケティング・コミュニケーション課題を、顧客とともに探索・共有し、具体的な解決策を提案することで、顧客のマーケティングROI向上に貢献してきた。これまでに、約3500社、1万人の顧客が同センターを利用している。その中で、利用者から『コンテンツの制作・運用管理』および『共感や絆を生み出すコンテンツ』の重要性が高まってきたことに対応するため、今回、同センターの機能をさらに強化した」と、富士ゼロックス プロダクションサービス営業本部 マーケティング部長の杉田晴紀氏は述べている。

 新設した「スマートクリエーションラボラトリー」では、動画や音声が含まれたリッチコンテンツのデザインやプロモーション機能を強化し、画像データなどのコンテンツを効率よく効果的にエンドユーザーに伝える手段や、ECサイトやCRMプロモーションで利活用する方法を体感できるスペースを用意した。ネットスーパーやバーチャルストアといった新たな販売形態におけるマーケティングコミュニケーションを支えるさまざまなサービスの提案と次世代流通を支えるコンテンツ関連技術の展示などを行い、顧客の課題をワンストップで解決することを目指す。

商品画像の撮影・登録を行う「Contents Studio」
顧客とともにアイデアを形にする「共振Space」

 具体的には、「Contents Studio」「技術開発Space」「共振Space」「Design&Creation」の4つのスペースで構成され、商品画像の撮影や、画像コンテンツの編集、加工、デザイン、技術開発など一連の作業を体感することができる。最後に、近未来をイメージした「共振Space」で、顧客と課題を共有し、アイデアを形にしていく。同ラボには、専門のデザイナーやエンジニアが常駐しており、顧客とオープンなコラボレーションを行いながら、最適なコミュニケーション環境の実現を支援する。

 一方、「地域コミュニティー活性化ブース」では、同社と顧客だけでなく、顧客と顧客を結びつける新たな価値提供のスキーム作りを提案する。具体的には、イベント情報など地域ごとのローカルコンテンツを保有している顧客と、タウン誌などの地域に密着した情報発信手段をもつ顧客を結びつけ、新規ビジネスの創造や地域振興および復興を支援していく。

 「昨今、『地域の絆』という観点からマーケティングを捉え直す動きが活発化している。これに対応し、『地域コミュニティー活性化ブース』では、『いきいき』『わくわく』『豊かな』地域コミュニティ・マーケティングの実践モデルや事例を通じて、地域の活性化に向けた課題の深掘りと解決策を探索していく」(杉田氏)としている。

(唐沢 正和)