リコー、紙を撮って関連するWebにアクセスできるiOSアプリ「TAMAGO Clicker」

QRコードより幅広い用途に


雑誌の気になるところをアプリでクリック。表示されるリンクから気になったものを選択。公式サイト、動画、音声、購入ページ、Twitter、ブログ、地図、Wikipedia、電話、メールなどと多彩に連携できる
AREA Englishと提携

 株式会社リコーは20日、iPhone/iPadアプリ「RICOH TAMAGO Clicker」を発表した。端末で紙情報を撮影するだけで、紙情報に関連したさまざまなデジタルコンテンツへアクセスできるアプリ。新しいアイデアを形にする「RICOH TAMAGO」プロジェクトの第2弾として生まれた。App Storeから無料でダウンロードできる。

 TAMAGO Clickerは、紙とWebの融合を図るサービス。紙情報の画像や文章などをiPhone/iPadで撮影すると、関連するデジタルコンテンツへのリンクが表示される。米Ricoh Innovationsで開発した「ビジュアルサーチ技術」をベースに、撮影した画像や文章をパターンマッチングし、あらかじめ登録された紙情報とひも付けられたリンクを表示する仕組み。リンクは、公式サイト、動画、音声、購入ページ、Twitter、ブログ、地図、Wikipedia、電話、メールなどを複数登録できるため、幅広い用途に利用できる。

 2月23日に発売される「AERA English 4月号」(朝日新聞出版)で試験導入され、例えばインタビュー記事に対して本人の公式ブログ、Twitter、インタビュー動画などをリンクさせる。

 システム全体の仕組みは、メディアなどのコンテンツホルダーが紙媒体をPDF化したファイルを、クラウド型のオーサリングアプリに登録。範囲指定ツールを使って、リンクを埋め込む領域を任意に設定する。その情報はクラウド上の「Clickable Paperサーバー」に保存され、iPhone/iPadアプリと連携。TAMAGO Clickerアプリの撮影機能で画像や文章を読み取ると、埋め込まれたリンク情報が端末上に表示される。

 リンク領域は1ページ内にいくつでも設定でき、領域ごとに6つのリンクを設定できる。例えば、通販雑誌で1ページ内に複数記載された商品それぞれに、購入ページへのリンクを埋め込むといった用途も可能。静止画であれば紙媒体以外にも対応するため、街中のデジタルサイネージにリンクを埋め込むこともできる。

 類似の技術として、QRコード、2Dバーコード、電子透かしなどが存在するが、TAMAGO Clickerはより柔軟といえる。例えば、QRコードはコード自体に1対1でしか情報を埋め込めず、低解像度のカメラにも弱い。一方のTAMAGO Clickerは、VGA・斜め撮り・離れた位置からラフに撮影しても認識できるほか、ページ内の任意の領域に複数のリンクを埋め込める。

システム全体の仕組み類似技術との比較

 課題は、QRコードが広く認知されているのに対し、TAMAGO Clickerはこれから周知を図らなければいけない点だ。TAMAGO Clickerでも専用のロゴマークを用意し、「このマークが記載された雑誌のページではTAMAGO Clickerによる読み取り」が可能ということを広く周知させる必要がある。周知のためにはAREA Englishのような事例が効果的。リコーではほかにもメディアや広告などの分野で、ほかにも提携を進めているとのこと。

 同社はTAMAGO Clickerで、紙とWebの自然な融合を目指す方針。これにより、従来のオフィス事業への付加価値としてTAMAGO Clickerを訴求するほか、メディアや教育など同社にとって新たな顧客層の開拓につなげたい考え。「AREA English以外のメディアなどとも現在交渉中」(リコー)という。

関連情報