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NEC、NISTの顔認証技術ベンチマークテストで3年連続の1位評価に

〜顔認証技術を武器に、セーフティ事業分野で2017年までに売上1000億規模を目指す

NEC 情報・メディアプロセッシング研究所長 山片茂樹氏

 日本電気株式会社(NEC)は6月20日、米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証技術ベンチマークテストで第1位評価を獲得したと発表した。NISTが行った顔認証技術ベンチマークテストでは2009年のMBGC2009、2010年のMBE2010に続き、3回連続で1位評価を獲得している。今回エントリーした顔認証技術は今年度内の製品化を予定している。

 今回評価結果が発表されたのは、「1対N照合」の顔認証試験で、多数の顔画像データから一致する顔画像を正確に速く抽出することを競うもの。任意の顔画像と一致するものを16万人分の顔画像データをから抽出するテストを行い、その結果上位6ベンダーまででさらに160万人分の顔画像データから一致するものを抽出するテストを行った。

 NISTのベンチマークテストは、1:1照合、1:N照合、年齢性別照合、動画照合などに分けて行われるが、うち1:1照合は全参加ベンダーのエントリーが義務付けられている。1:1照合については今回まだ結果が発表されていないが、NECの独自評価テストでは、2010年のMBE2010参加時とくらべて認証エラー率を1/3に低減できたという。

 今回のNISTベンチマークにおいて、NECは高画質画像の検索精度では1位照合エラー率3.1%と2位の仏Morpho社6.6%を引き離し、さらに低画質画像の検索精度では1位照合エラー率7.9%を達成、2位東芝の17.3%を大きく引き離した。検索速度においても1秒あたりの検索人数302万人で2位のAyonix社(日本)の170万人を倍近いスコアを出し1位となった。

NECの顔認証技術への取り組み
NECの顔認証技術の特長
高画質画像の検索精度
1秒あたりの検索人数

 NEC 情報・メディアプロセッシング研究所 主席研究員 今岡 仁氏は、顔認証技術の特徴として、(1)非接触での認証が可能でユーザー側の操作が不要、(2)専用機器が不要で普通に使われているWebカメラが使える、(3)照合結果の顔画像を人間が確認することができる(指紋や静脈にはない特徴)、の3点を上げた。

 例えば、NECの顔認証技術を用いた香港の出入国管理においては、顔認証技術を用いることで、トラックの運転手は乗車したまま、極めて短時間で顔認証チェックが行えるという。

 NECの顔認証技術では、瞳中心、尾翼、口端などの特徴点位置を検出し、顔計上モデルを用いて特徴点を詳細に探索する技術や、年齢による顔の変化などの変動にも頑強な独自のパターン認識手法などを用いている。このため、若い時の写真をサンプルに数十年後の写真を探し出したりといった年齢の変化に強く、また粗い画像においても他社に比べて正確な抽出ができるという。

NECの顔認証技術導入事例
顔認証における評価方法
NECの顔認証における処理の流れ
NECの顔認証技術を支えるキーテクノロジー
「1対N」照合デモ。Core i7を搭載したノートPCで、8スレッドによる並列処理。1秒あたり3300万件の顔画像データ検索が可能で、1億人を3秒で検索できる
今岡氏の高校時代の画像と、44万人分の顔画像データを照合したデモ。約17.9msecで、1位に現在の今岡氏の顔画像が検出された

海外ではNISTエントリーが入札の条件になる場合も

 NEC 情報・メディアプロセッシング研究所長 山片茂樹氏は、「アジアの都市化率は2025年には50%を突破。事件や事故の増加が予想される中で、NECは安心・安全を支える技術で社会に貢献していきたい」と今後都市化するアジア圏での市場拡大の見通しを説明。

 今回の結果について、海外ではNISTエントリーが入札の条件となっている場合もあり、NISTの結果はビジネスにおけるインパクトの面でも非常に重要だという。NECの顔認証技術は、世界20カ国以上において、警察・司法機関・入国管理などからアミューズメント施設まで幅広く活用されているが、NECではスマホなどの機器組み込みも含め今後さらに用途を広げたいとした。

 NECでは、顔認証技術を含めた個人認証技術だけでなく、社会や施設、群衆行動の解析技術にも力を入れている。ビッグデータを用いた群集行動解析やSNS(テキスト)分析、対雑音音声認識、不鮮明な低解像度の映像を鮮明化する技術などと個人認証技術を合わせたセーフティ事業分野で、2017年までに売上1000億規模を目指している。

セーフティ事業分野でNECが持つキーテクノロジー
顔認証技術の幅広い用途

(工藤 ひろえ)