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富士通がビッグデータ推進、故障予測やマーケティングなど10種の実践モデル

「FUJITSU Big Data Initiative」商品・オファリング体系

 富士通株式会社は28日、ビッグデータ関連製品・サービス群を体系化した「FUJITSU Big Data Initiative」において、顧客に最適なビッグデータ活用を提案する10種類のオファリング(課題解決メニュー)を策定し、提供を開始した。

 同オファリングは、ビッグデータ活用の提案資料と実装モデルから構成され、これまでに同社が支援した顧客のビッグデータ活用に関する約200件のモデル事例から、特にニーズが高い10種のテーマで策定したもの。

業務プロセス改革1.リアルタイム経営の実現
2.故障予測による設備メンテナンス高度化
3.予兆検知による社会インフラ維持・管理
4.工場のリアルタイムエネルギー管理
5.製造ラインのデータから「頻発停止」発生予測の実現
サプライチェーン最適化6.需要予測の高度化によるSCM最適化
マーケティング高度化7.顧客接点情報の有機連携によるCXの実現
8.金融サービスでの個客向けパーソナライズ化実現
9.顧客所用分析による人的リソース最適配置
商品・サービス強化10.M2Mデータによる商品・サービスの高度化
「故障予測による設備メンテナンス高度化」を支えるサービス・技術
障害予兆検知技術の概要
機器などの振動を取得、平常時から外れた振動の差異を検出し故障予兆を行う新技術も
メタウォーターの事例
「顧客接点情報の有機連携によるCXの実現」を支えるサービス・技術
複数の監視カメラ映像を活用し建物内の人のアクティビティを可視化する新技術も
小売業の事例

 富士通では6月24日に「FUJITSU Big Data Initiative」を発表し、新技術と高度な分析によりデータから新たな価値を創出し、顧客と社会のイノベーションを支える取り組みを始めている。具体的に「最先端の製品・サービスを体系化」「顧客のビッグデータ活用をサポートするビッグデータイニシアティブセンターの設置」「個客向け、協業パートナー向け、ベンチャー企業向けプログラムの新設」を発表している。

 その中で「ビッグデータをどう活用すればいいか」「社内外のデータをいかに組み合わせればいいか」「人材がいない」「多種多様なビッグデータ製品から何を選べばいいか分からない」といった課題を抽出。これらに対して今回、「ビッグデータ活用へのオファリング・実装モデル10種」を提供するとともに、「ビッグデータ人材育成サービス」「ベンチャー支援プログラム第2次募集」も提供する。

 同社が11月1日に開催するデータ活用イノベーションフォーラムの応募状況から、製造・情報サービス・流通・金融・教育・官公庁・自治体と全業種で関心が高く、営業・販売・マーケティング・調査や、研究・企画・開発など現場部門の関心が50%を超えることが分かった。

 今回のオファリングでは、経営者に向けた「全体説明」から、現場部門・情報システム部門にまで落とし込んだ「オファリングシート(概要」「オファリングシート(活用・分析・アウトプット)」「実装モデル(概要)」「実装モデル(詳細)」までの提案資材を整備したのが特長という。

ビッグデータについて現場部門の関心が50%を超える
オファリングの構成

 ビッグデータ人材育成サービスでは、「データサイエンティストには3つの役割が求められるが、そのすべてを短期に育成するのは難しく、職務別役割におけるデータ活用の人材育成が重要」として、ビジネス企画部門向けの「ビジネス課題を洞察しデータ活用のイノベーション企画力」、業務部門向けの「データ活用を実践する分析力・数理学」、システム部門向けの「システムデザイン技術・ツール習得」を学べる教育コースを展開する。

 具体的に「実践事例に学ぶ!ビッグデータ利活用研修」というコースを開設。11月より募集、2014年1月から開始する。データサイエンティストのチーム構築のための4日間コースで大学教授によるケース講義や事例に基づくワークショップを通じて実践教育を行う。

 ベンチャー企業向けプログラムの第2次募集も開始。第1次募集は8月に募集が行われ、現在6社との協業が進んでいる。レスク社との「電動バイク用可搬バッテリ管理」の実現などの形で実を結んだ。

 第2次募集は2014年1月を予定する。

川島 弘之