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ISID、ビッグデータ解析による予知保全分野へ、米ベンチャーと資本提携

 株式会社電通国際情報サービス(ISID)は31日、ビッグデータ解析による知的保全で米Predictronicsと資本・業務提携し、同社発行済み株式の15%を取得したと発表。今後、製品・設備の故障を高精度に予測する最新テクノロジーを国内製造業に提供するとした。

 昨今、製品・設備のマシンデータを分析して高精度に故障を予測する取り組みが進んでいる。現在行われている予知保全の多くは、熱や振動といった少数の物理事象の変化に着目、保全効率化の観点で一定の効果を上げている。一方、欧米企業では、動作条件や設置環境などに応じた状態変化を複数の変数を組み合わせて多面的に分析することで、保全のための故障予測にとどまらず、生産・保全計画の改善、事業効率化にまで反映させる、より先進的な研究が始まっている。

 米国では、アメリカ国立科学財団が進める産学連携活動の一つであるIMSセンターCenter for Intelligent Maintenance Systems)において、2001年より同分野の研究・開発が進められている。膨大な稼動監視データを複数のパラメータを用いて多面的に分析することで、従来の手法では検知できなかった故障や残寿命機間の予測が可能となっており、さまざまな業務や動作条件に適用可能な分析アルゴリズムも開発されているという。

 PredictronicsはIMSセンターの中心メンバーで「知的保全」を提唱してきたシンシナティ大学ジェイ・リー教授、および同センターの研究者によって設立されたベンチャー企業で、同分野におけるコンサルティング、ソフト開発、トレーニング、データ分析などのサービスを提供している。

 今回、ISIDとPredictronicsは、日本における共同マーケティング、パイロットプロジェクトの獲得・推進で合意。ISIDは国内においてPredictronicsの技術やノウハウの独占移転を受け、顧客へ知的保全に関する各種サービスを提供する。併せて、ISIDはPredictoronicsの発行済み株式の15%を取得、役員1名を派遣し、日本における早期の実績を目指す。

 ISIDグループは従来、製造業のものづくりプロセスにおける企画、開発、生産分野を中心にコンサルティングやソフト提供を主力事業の1つとしているが、今回の提携により、保全までを含むものづくりプロセス全体を網羅的にサポートすることになる。今後、製品・設備の故障を高精度に予測する最新テクノロジーを国内製造業に提供する考え。

川島 弘之