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米MapRが日本法人を設立、エンタープライズ向けHadoopソリューションを本格展開
(2013/9/20 06:00)
米MapR Technologies(以下、MapR社)は19日、日本法人のマップアール・テクノロジーズ株式会社(以下、マップアール)を設立し、国内での事業展開を本格的に開始すると発表した。新日鉄住金ソリューションズ、ノーチラス・テクノロジーズ(ノーチラス)とパートナー契約を締結し、オープンソースの分散フレームワーク「Apache Hadoop」を独自に拡張した製品「MapR M5」を中心に、国内での製品の販売を進める。
MapR社は、エンタープライズ仕様のHadoopディストリビューションであるMapRを提供するベンチャー企業。その特徴は、「Apache Hadoopと100%の互換性を維持しながら、高可用性、使いやすさ、パフォーマンスといった、エンタープライズで求められる要件を付加している点」(MapR社 ワールドワイド・フィールド・オペレーションズ担当シニアバイスプレジデント、スティーブ・フィッツ氏)だ。
具体的には、Hadoop標準のファイルシステム「HDFS」をC/C++で書き直した「MapR FS」を採用したり、MapReduceを最適化したりすることで、ハードウェアの限界性能を引き出せるようにした。フィッツ氏が示したベンチマークによれば、Clouderaの「Cloudera's Distribution Including Apache Hadoop(CDH)」と比べて、1.8倍~3倍の性能を示しており、「パフォーマンスが優れていれば、より多くのデータを分析できる」(フィッツ氏)ことから、顧客に評価されているという。
こうした点は、パートナー契約した1社であり、Hadoopビジネスで実績のあるノーチラスの神林飛志社長も、「自社でのベンチマークの結果、ほぼすべてでMapRのパフォーマンスが高く、社内のエンジニアも高い評価をしている」と述べ、MapRの性能面の高さを認める。
またHDFSと異なり、NFSボリュームとしてクラスタを容易にマウントできる点が、運用上での大きなメリットになる。これについて、マップアールのセールスディレクター、平林良昭氏は「データの移動という手間がなく、常に最新のデータを扱える」とアピールした。
一方、耐障害性という点では、メタデータ管理用のNameNodeが単一障害点となっていたApache Hadoopと異なり、分散NameNodeを採用することによってて耐障害性とスケーラビリティが向上している。
こうした特徴を聞くと、EMCジャパンが提供しているHadoopディストリビューション「Greenplum HD」と同じように聞こえるが、それもそのはずで、Greenplum HDはMapR社がOEM提供していたもの。そういう意味では、すでに実績のあるソリューションともいえる。
ノーチラスの神林社長は、「国内ではすでに、業務系バッチでのHadoopの活用が始まっている。しかし業務活用では、高い信頼性や可用性が必要で、MapRは信頼がより必要とされているところにマッチするソリューションだ。サポートの面で、日本オフィスができることにも価値がある」と述べ、今後のビジネスの広がりに期待を示した。
製品は無償版の「MapR M3」、有償版の「MapR M5」、NoSQLデータベースのHBaseの機能を強化した「MapR M7」といった3種類を用意する。有償版はサブスクリプション形式のライセンスとなり、価格は、それぞれ1ノードあたり年間40万円から、年間70万円から。
なお、マップアールの人員は当初は2名でスタートし、10月には4名に拡大。「今後6カ月で、10名規模へ拡張したい」(マップアールの平林氏)意向だ。