ネティーザが自社ソリューションを強化、大容量DWHアプライアンスや新ソフトなどを今秋にも提供
米Netezza社長兼CEOのジム・バーム氏 |
左から、Skimmer、TwinFin、Cruiser |
DWH(データウェアハウス)に特化したアプライアンスを提供する日本ネティーザ株式会社(ネティーザ)は30日、米Netezza社長兼CEOのジム・バーム氏来日に伴う記者会見を実施。同社の最新状況についての説明を、バームCEOが行った。
バームCEOによれば、4月に終了した2010年度第1四半期は、非常によい業績を残せたとのこと。製品は、小売りから金融、通信、ヘルスケア、サイエンス、デジタルメディア、製造業まで幅広い業種で採用され、例えばNTT DoCoMo、サッポロビール、バンクオブアメリカ、ニューヨーク証券取引所、といった顧客をはじめ、グローバルで350社を超える企業で採用されている。中でも、2009年秋にリリースした、x86汎用ハードウェアを用いる最新アプライアンス「TwinFin」は、すでに450ラック以上を出荷し、多くの局面で利用されるようになった。
財務状況も良好で、その結果、競争力の源となる、新製品への投資も継続して行えているという。同社ではこれまでも、ビジョンを継続して発信してきたが、投資もこれに沿って行われている。
具体的にはまず、ラインアップの拡充を図る。TwinFinを提供した後、それをベースにした小型モデル、大容量モデル、ハイスピードモデルなどを順次提供していくとのロードマップを、Netezzaは示していた。この計画に従い、すでにエントリー/テスト向けの小型モデル「Skimmer」を2月にリリースしているが、バームCEOはさらに、大容量モデルを「Cruiser」の名称で、2010年の終わりごろまでに提供するとの計画を明らかにした。
「TwinFinは、数TB~1PBまでをカバーするシステムで、プライスパフォーマンスは市場のリーダーになっているが、Cruiserは、市場においてTBあたりのコストが一番低い製品になる。クエリ可能なアーカイブやディザスタリカバリ、バックアップ/リストアなどの機能をサポートし、1つのシステムで10PBまでの拡張に対応する」(バームCEO)。
さまざまな環境の異なった種類のアプライアンスを統合管理する仕組み「Data Virtualizer」を提供する |
「Netezza Software 6.0」の概要 |
また、企業内でのさまざまなニーズを解決するためには、異なったアプライアンス、システムが複数導入されることが想定されている。しかし、これらがすべて独立して運営されているのでは、管理・運用面での効率が悪くなってしまう。
そこでNetezzaでは、複数のシステムを1つのものであるかのように運用できる『Data Virtualizer』を、今後提供する予定。しかもこの製品は、「システム全体を管理し、ユーザーが分散するアプライアンスのどこにクエリを投げればいいのか、といったことを決めてくれる」機能も備えているので、いわば分析環境の仮想化も実現するという。
さらにNetezzaは、ソフトウェアの強化も引き続き行っていく。もともと、前世代の「Netezza Performance Server」アプライアンスでも、ハードウェアはそのままに、ソフトウェアの載せ替えで機能と性能の向上を提供してきた。この方針はTwinFin世代になっても変更されておらず、同世代向けの「Netezza Software 6.0」を2010年秋にも出荷する予定を示している。
この新ソフトウェアでは、圧縮のアルゴリズム変更や、文字の圧縮に対応するなどの効率化によって、速度を前バージョンと比べて2~3倍引き上げられるほか、ワークロードの管理機能を強化。加えて、すでに発表されている高度分析のための「iClass」機能も実装される。
バームCEOは、こうした強化について、「何が起こっていたのか、といった過去の分析に加えて、何が起こるのかという、これから先の分析が可能になる。また、(何が一番良い選択かという)最適化の分析も可能になる」とコメント。さらに、TwinFinアプライアンスの中へ、これまではアプライアンスの外で行っていた作業を取り込むことで、処理時間の短縮を実現。企業にとっても、必要な情報を得るための時間を短縮できるメリットが提供されるとしている。
なお、バームCEOは最後に、NECとの共同開発で提供されている「InfoFrame DWH Appliance」にも言及。TwinFinと同じ能力を持ったアプライアンスを、NECからも提供可能になったことで、ビジネスの広がりがより期待できるとの見通しを示している。