NEC、米NetezzaとDWHアプライアンスを共同開発-3年で150セット以上の販売狙う


 日本電気株式会社(以下、NEC)と米Netezzaは2月4日、データウェアハウス(DWH)アプライアンスの共同開発を行うと発表した。NECは、自社のハードウェアに、NetezzaからOEMを受けたソフトウェアなどを搭載し、「InfoFrame DWH Appliance」の名称で、4月から販売を開始する予定。

 NECでは、Netezzaと2006年7月に再販契約を交わし、2009年末の時点で24社、30台以上のアプライアンス販売を行ってきた実績を持つ。その中でも、約50%を2008年度以降に販売しているほか、OracleやMicrosoftなどが相次いで参入したように、業界全体としても。DWHアプライアンス市場に注目が集まっている状況がある。

NECの石井吉之グループマネージャ【左】と、日本ネティーザの湯本敏久部長【右】

 一方、Netezzaの製品は、当初ははハードウェアを含めて独自開発されていたものの、2009年に投入した第4世代アプライアンス「TwinFin」では、IBM製のブレードサーバー、ストレージをベースとしたアーキテクチャに変更された。「IBMのハードウェアを使っていても、汎用製品を使ったということであり、当社としては自社製品という意識だ」(日本ネティーザ マーケティング本部の湯本敏久部長)とはいうものの、「やはり他社のハードウェアだと、2次サポート以降が自社でできなかったり、営業のモチベーションが若干下がってしまったり、というハードルがあった」(NEC ITプラットフォームソリューション事業部 Decision Navigatorソリューショングループの石井吉之グループマネージャ)。

 そこで、「当社もサーバー、ストレージといった同じ分野の製品を持っているため、自社製品を活用して同様のアプライアンスを作れないか。すべて自社製品となれば、営業の心理的抵抗も少なくなるだろうし、NECフィールディングのサポート力を活用した、一括サポート体制を構築可能」(石井氏)との狙いから、Netezzaとの共同開発をスタートさせたという。

 ハードウェアコンポーネントとしては、ブレードサーバー「SigmaBlade」、ストレージ「iStorage」、x86サーバー「Express5800」を利用し、そこにNetezzaのデータベースアクセラレータや、OSを含めたデータベースソフトウェアなどを搭載するといった構成を予定する。ラインアップは、基本的にはNetezza製品に追従する形でそろえていく計画とのことで、Netezzaから今後提供が予定されている高性能モデル、大容量モデルなども、市場のニーズを見ながら対応するとした。

 製品の特徴は、チューニングなしでも発揮可能な高パフォーマンス、簡易な導入、低コストといった点で、TwinFinのハードウェアがNEC製品に変更されたもの、という位置付けから、基本的にはTwinFinと同様となっている。

 ただし、NECでは、自社ならではの付加価値をつけたソリューションとしても、販売を計画しているとのこと。石井氏は具体的な例として、ビジネスインテリジェンス(BI)機能までを組み込んだBIアプライアンスや、膨大なデータをため込むETLサーバー、といった用途を挙げた。「現状のTwinFinでは、アプリケーションサーバーなどを追加しようと思っても、Netezzaの米本社との打ち合わせが必要になるなどの障壁があったが、自社製品として販売するInfoFrame DWH Applianceなら、当社独自の機能を追加し、ソリューションとしての提供が可能になる」(石井氏)。

 加えて、NECでは、アプライアンス製品構築のノウハウを獲得したい狙いもある。「社内で、ハードウェア、ソフトウェアはそれぞれ異なる部隊でビジネスを行っている縦割り体制のため、それらを融合させた顧客志向の製品を作れていなかった。かつては製品単体での販売でも良かったかもしれないが、製品の差別化がしづらくなっている今では、統合製品の必要性が高まっていた」(石井氏)ことから、先行するNetezzaのノウハウも取り入れ、InfoFrame DWH Applianceでの経験を今後の製品開発に生かしていきたい考えだ。

 販売対象としては、「現状Netezza製品で対応している、事業規模が大きく、数千万円単位の大きな投資が可能なユーザー。銀行、コンビニ、官公庁、通信などを想定している」とのこと。また、保守を含めたNECでの一括対応体制となり、素早い保守対応などが行えるため、これまで導入をためらっていた企業への訴求や、初期に導入した企業への置き換えなども狙って行くとした。さらに、再販契約では対象地域が国内に限られていたが、自社製品になり、ワールドワイドへの展開が可能になったことから、海外への販売も見込んでいる。石井氏によれば、販売・保守網が確保されている台湾、中国の大都市など、アジアパシフィック地域から展開される予定。

 販売目標は、2010年度からの3年間で150セット以上。そのために、ITプラットフォームビジネスユニットに10名の営業支援部隊、20名のSE支援部隊を立ち上げ、将来的には倍程度まで拡張するとしている。

 なお、日本ネティーザの湯本氏は、「NECとはその協業を進化させよう、という議論を常々してきていたが、当社が汎用のハードウェアを採用した時点で、同じようなことができないかという話があり、今回の発表につながっている。NECが長年培ってきた信頼性、製品力、地域のカバレッジなどは、大きなメリットになると感じている。当社のアーキテクチャを使った製品が2つ市場に存在することは、大きなメリットだ」と述べ、今回の発表を歓迎している。




(石井 一志)

2010/2/4 16:39