ネティーザ、大容量型と超高速型のDWHアプライアンスを提供へ

DHWアプライアンスのライフサイクル管理を実現可能に

米Netezza 製品統括責任者のフィル・フランシスコ氏
Netezza TwinFin

 日本ネティーザ株式会社(以下、ネティーザ)は9月9日、データウェアハウス(DWH)アプライアンスの新製品「Netezza TwinFin」に関する説明会を開催。今後の製品展開などについて、米Netezza 製品統括責任者のフィル・フランシスコ氏が説明を行った。

 TwinFinは、ネティーザが10月下旬に提供を予定する最新のDHWアプライアンス。従来の「Netezza Performance Server(NPS)」でもソフトウェアベースの既存DWH環境を劇的に高速化できたが、さらに2~5倍の高速化を達成している。また、NPSでは汎用部品を用いながらも、独自に設計されたハードウェアを利用していたが、TwinFinではIBM製の標準的なハードウェアと自社の技術を組み合わせてアプライアンスを構成している点が特徴という。

 ただし、ハードウェアを変更しているといっても、根本的なアーキテクチャ自体に変更はなく、ストリーム処理と並列処理を組み合わせた「AMPP(Asymmetric Massively Parallel Processing:非対称型超並列処理)アーキテクチャ」を引き続き採用する。AMPPは、ストレージからデータを読み出しながらストリーム処理で分析を実施し、複数並べられたSPUから送られてくる分析結果を、SMPホストで集計する仕組み。従来は、CPU、FPGA、HDDを備えた独自開発のブレード「SPU(Snippet Processing Unit)」で読み出しと分析を行っていたが、TwinFinでは、汎用サーバーブレードと、FPGAを搭載したブレード「Netezza DBアクセラレータ」をペアにして「スニペットブレード(S-Blade)」を構成し、SPUと同様の処理を行わせている。

 フランシスコ氏はこのような特徴を持つTwinFinについて、「この製品では、パフォーマンスだけでなく驚異的な価格性能比も達成した。容量やユーザー数の成長に耐えられる拡張性も備えるほか、標準のブレードサーバーを用いたオープン性もあり、真の意味でのシンプルさを可能にした」と述べている。

 またTwinFinでは、ハードウェア構成の変更とあわせて、これまで一本のみだった製品ラインを拡張し、特徴を明確にした複数の製品ラインを提供することが明らかにされている。具体的には、開発やテストなどでの利用を想定したエントリー型、大容量型、超高速型の各製品が提供される予定で、「数四半期かけて順次提供する」(フランシスコ氏)という。

 エントリー型は7Uラックサイズのコンパクトな製品で、ミッドマーケットやデータマートでの利用を想定するほか、「より大がかりなTwinFinの導入に備えた開発システムとしても最適。また、パートナーのアプリケーションとの連携による展開も可能だろう」(フランシスコ氏)とのこと。S-Bladeは1つのみ搭載し、ユーザーデータは2.5TB(圧縮後10TB)まで取り扱える。

 大容量型は、最大20ラック、5PBまでのデータを取り扱えるモデル。特に、金融サービス、通信など、データ保存に関する厳しいコンプライアンス要件を満たさないといけない業種を対象にするほか、複数のTwinFinのバックアップ、ディザスタリカバリシステムとしても有用ではないかとした。S-Bladeは1ラックあたり6つを搭載する予定だ。

超高速型のTwinFin

 最後の超高速型は、「TwinFinを超えるさらなるパフォーマンスを追求する」(フランシスコ氏)モデル。インメモリ処理が可能な点が特徴で、従来のディスクストリーム処理との共存もサポートする。対象としては、ニア・リアルタイム分析やオペレーショナルBIなどを必要とする企業を想定。1ラックあたり12のS-Blade、1TB以上のメモリを搭載し、最大10ラックで、1.2PBのデータを取り扱える。

 なおフランシスコ氏はこれらの製品について、「単独構成のみならず、製品構成を複数組み合わせて、1つのデータセンターで利用できるだろう。データのライフサイクル管理という観点からも効果的ではないか」と述べ、プライマリ、ニアライン、アーカイブといったストレージと同様の階層化に利用できるとしている。

 また、ソフトウェアの強化を今後も進めていく方針をあらためて表明。「今後は高度な分析機能をさらに追加するとともに、対応言語もJavaやPythonなどに拡張していく。さらに、今まで以上に高度な分析をお客さまやパートナーができるような体制も整える予定で、例えばデータ最適化を図りながら、シミュレーションや高度な予測分析を行えるようにする。この分野にはサードパーティとも取り組みを進めており、まず、SASが対応表明している」(フランシスコ氏)。





(石井 一志)

2009/9/9 13:40