ネティーザ、DWH装置をより高度な分析に活用する「i-Class」オプションを提供へ

2010年の販売戦略を発表、顧客内でのさらなる活用促進を目指す

 日本ネティーザ株式会社(以下、ネティーザ)は3月3日、2010年の事業戦略に関する説明会を開催。代表取締役のダグラス・エッツェル氏らが登壇し、データウェアハウス(DWH)アプライアンスの今後の展開などについて解説を行った。

 DWH/BI分野においては、ネティーザが手掛けるアプライアンスによるアプローチが主流になっており、スタートアップのベンチャーのみならず、大手ベンダー各社もアプライアンス製品を相次いで市場に投入しているのは周知の通りで、ユーザーへの浸透度も非常に高くなっている。しかし、エッツェル氏は、「他社はOLTPに手を加えて後からアプライアンスを作っているが、当社は白紙から組み立て、DWHに最適なアーキテクチャを目指している」という点を指摘。性能と導入・運用の簡易性においてまったく異なるメリットを提供できると主張する。

 特に簡易性については、圧倒的な自信を持っているとのことで、「OLTPを使う業務システムでは、ユーザーがどういう検索をするかがある程度決まってくるため、事前のチューニングが可能。うまくチューニングを行えば性能は出せるだろう。しかしDWHでは、どういう検索をするかわからないし、すべてのデータをさまざまな角度から自由に分析できることが重要になる」(エッツェル氏)とし、チューニング作業が不要で、導入も非常に容易な自社製品のメリットを強調した。

代表取締役のダグラス・エッツェル氏大手をはじめ各ベンダーからDWHアプライアンスが提供されるようになったが、OLTPベースで立ち上がった他社製品と比べて、特に簡易性においては圧倒的な優位性があるという

 製品については、2009年に第4世代のTwinFinを提供し、従来のNetezza Performance Serverからさらなる性能向上を実現。ワールドワイドで約70社、130セット以上を出荷し、その性能と簡易性が評価されているとする。さらに2月には、小型版のTwinFinともいうべき小規模向けアプライアンス「Netezza Skimmer」を発売したほか、すでに発表されているように、大容量モデル、高速モデルといった製品を投入する予定で、より幅広いニーズへ対応できるようにする。また、ソフトウェアの開発も継続し、前世代の「Netezza Performance Server(NPS)」アプライアンスやTwinFinの能力のさらなる向上を図るという。

小型アプライアンスのNetezza Skimmerは7Uサイズのラックマウント型で、部門単位の導入や初期導入、開発用途などに向くソフトウェア能力の強化で、ハードウェアの能力をさらに引き出せるという

 一方、パートナーシップについても引き続き強化する意向で、中でもNECとは、DWHアプライアンスを共同開発しており、4月からNECブランドでの販売が開始される。これについてエッツェル氏は、「基本的にはTwinFinと特徴は同じだが、NECのDWHのノウハウと販売力を生かして販売したい。全世界のパートナーシップになっているので、出発点は日本だが、中国や台湾、米国、欧州などでも展開される予定だ」とコメントした。

i-Classの概要

 さらに今後は、TwinFinが持つ能力をこれまで以上に活用することも目指す。それが、今回コンセプトが発表された「i-Class」で、この提供の背景には、「さまざまなデータを業務システムからとれるようになったため、それを深く分析したい、というニーズがある」(エッツェル氏)という。

 執行役員 技術本部長の法華津誠氏はその例として、需要予測などのモデリング/スコアリング作業を紹介。「現在、モデルの作成は作成者が自身のワークステーションにデータを引っ張り出して処理しているが、データを全件持ってこられるわけではないため、一部を加工・切り出して活用するといった利用を強いられている。またその後のスコアリングについても、グリッドなどの仕組みを使って作業をする必要があり、データの移動などの作業も発生するので、非常に時間がかかっている。こうした作業をTwinFinで行えば、すべてその中で完結するし、データの加工も必要なく、大きな時間短縮が見込める」と効果を説明した。

 ネティーザでは、米SASとの連携でこうしたモデリング/スコアリング支援機能の実装を予定しており、ここでは最大10倍の性能向上が見込めるとのこと。さらに、それ以外の主要アプリケーションや、Java、Pythonなどのプログラミング言語もサポートする計画で、2010年春以降の提供開始に向け、準備を進める。

 i-Classは、TwinFin向けのソフトウェアオプションとして提供され、ホスト部分に導入するだけで簡単に利用可能になる簡易性を持つことから、性能向上と簡易性を強調し、他社製品との差別化をアピールしていく考え。現在はNPS向けに用意されている地理空間情報処理オプション「Netezza Spatial」も、i-Classの一部としてTwinFin向けにあらためて提供される。

現在の複雑なモデリング/スコアリング作業をTwinFinに集約し、大きな時間短縮が図れるというi-Classでは、ホスト部分にソフトウェアを導入すると、分散処理を担当する「Sブレード」の能力を活用して分析処理が行えるようになる

 なお販売面については、「小型のSkimmerが提供されたこともあり、DWHアプライアンスの導入を初めて検討している企業の獲得など、顧客数を増やすことには継続して取り組むが、ユーザーが自由に分析できるという簡易性などが評価され、既存顧客からのリピートが増えている」(エッツェル氏)との戦略を説明。i-Classなども含めて、顧客内での活用を広げ、1社内での導入数を増やすことにも積極的に取り組んでいきたいと話している。





(石井 一志)

2010/3/3 15:55