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デル&EMCの統合が国内でも本格化、オールフラッシュほかシナジーを加速した新製品をアップデート

 デル株式会社とEMCジャパン株式会社は16日、10月に米国オースティンで開催された「Dell EMC World 2016」で登場したオールフラッシュストレージやハイパーコンバージドインフラ(HCI)といった新製品の、国内提供開始を発表した。

 9月にDell Technologiesとして両社の統合が完了して以来、Dell EMCとして初の製品アップデートとなる。

 EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 統括部長の永長純氏は「合併から2カ月が経過し、ポートフォリオも増え、非常に順調に統合が進んでいると実感している。8000人の参加者があったDell EMC World 2016のテーマは"Let the transformation begin(トランスフォーメーションを始動させよ)"だが、統合のメリットを活かした製品とサービスでもってお客様の課題解決に貢献したい」と語り、ITベンダーとしての一体化が順調に進んでいることを強調している。

EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 統括部長の永長純氏

3つの新製品群を発表

 今回、国内提供が開始された製品群は以下の3つとなる。

オールフラッシュストレージ「Dell EMC VMAX 250F/FX」

 オールフラッシュアレイのポートフォリオに新たに加わったのは「エントリレベルハイエンド製品」と永長氏が呼ぶ、スモールスペースでの利用を意識した中堅企業向けの新VMAX製品だ。

 旧EMCが提供してきたVMAXシリーズはハイエンドのオールフラッシュとして位置付けられてきたが、VMAX 250F/FXは「VMAXに期待されるパフォーマンスや可用性、スケーラビリティを備えながら、中堅企業向けの経済性も提供する」と永長氏は語る。

「エントリーレベルでありながらハイエンド」なオールフラッシュストレージの新製品VMAX 250FおよびFX

 最小構成11TBから最大1PBまでのスケールアップが可能で、「ほとんどの企業にとって十分な容量を確保できる」(永長氏)構成となっている。ほかのVMAXシリーズと同じアーキテクチャである「Dell EMC V-Brick」を基盤にしているので、レスポンスは最大100万IOPS、最大キャッシュは4TBと、高いパフォーマンスを実現している。

 また、単体では10U、フルロードした場合でも20Uのスペースで済むため、標準ラックの半分のスペースにフィットし、ユーザーラックにも搭載可能だ。専用ラックと40Uのスペースを必要とする既存モデルの「VMAX 100K」と比較すると、データセンターの専有面積を大幅に削減することができる。また「定価に関しても25%削減できる」(永長氏)という。価格は最小構成(11TB)で5200万円から。

 VMAXシリーズのFとFXでは対応するソフトウェアパッケージに違いがあり、VMAX 250F/FXも同様。Fスイートにはインライン圧縮機能や無停止移行を備えた「HYPERMAX」オペレーティングシステムのほか、組み込み管理、ローカルレプリケーションスイートなどが含まれる。FXスイートにはFスイートのすべての機能に加え、静止データ暗号化、eNAS、SRDF、ViPR Suiteなどが利用できる。

 「VMAX 250F/FXは小さいながらもハイエンドのパワーを備えたオールフラッシュアレイ。これでハイエンドオールフラッシュとしてのVMAXのラインアップは完全にそろったといえる」(永長氏)。

エントリーモデルの250F/FXが加わったことにより、オールフラッシュアレイとしてのVMAXのラインアップはほぼ完成
ハイパーコンバージドインフラストラクチャ「Dell EMC VxRail」「Dell EMC VxRack System 1000」

 EMCのストレージにDellのサーバーを組み合わせ、VMwareを完全にビルトインしたHCI製品は、ある意味、Dell EMCの統合のシナジーをもっとも体現しているといえる。

 今回発表されたのは、サーバーに旧Dellの「PowerEdge」を搭載したアプライアン製品スのVxRailと、同じくPowerEdge搭載アプライアンスに加え、ネットワーキングから電源までひとまとめにラックに搭載したラックスケール型のHCIであるVxRack System 1000。

 「新たにIntel Broadwellプロセッサを搭載したPowerEdgeサーバーをベースにしたことで、同じ価格帯のHCIに比べてCPUパフォーマンスが40%向上した。非常に高い効率性を実現できているHCIだと思っている。構成が柔軟に変更できるHCIのメリットを活かしており、日本の環境にあわせて電源も100V対応済み」(永長氏)。

 VxRailはこれまでに比べて2倍のストレージをノードに実装、最小構成で3ノードから可能となっている。また、VMwareの利用に最適化されているアプライアンスであるため、「VMware Virtual SAN Enterprise」や「VMware vCenter Server」なども追加料金なしでフルに利用可能だ。

 永長氏は「適材適所で仮想マシンを動かすためのアプライアンス」とVxRailを評しているが、加えてアクティブ/アクティブの拡張クラスタ構成などデータ保護機能も統合されており、VMwareエコシステムをよりシンプルに、かつスケールにも対応して利用できるアプライアンスだといえる。価格は最小構成で500万円から。

Intel Broadwell搭載のPowerEdgeサーバーを組み込んだHCIアプライアンス製品のVxRail
VxRailはVMwareの活用をフルサポートする完全にVMwareネイティブなアプライアンス。スケールアウトも容易なのでハイブリッドクラウドの選択肢として有力

 VxRackファミリに新たに加わったVxRack System 1000は、サーバーにPowerEdge R630およびPowerEdge R730xdを搭載したラックスケール型のHCI。PowerEdgeが加わったことで、20以上の新たなハードウェア構成が提供されることになる。ワークロードの要件に応じて柔軟にオールフラッシュやハイブリッドを選択することが可能だ。なおVxRack System 1000の価格は個別見積もりとなっている。

PowerEdgeをサーバーに搭載したVxRack System 1000

 永長氏はHCIが求められている理由として「顧客はインフラの構成で悩みたくない」という点を挙げている。「現在のテクノロジトレンドに沿って最適かつ柔軟に構成されたインフラをHCIアプライアンスとして選ぶことで、インフラ構築に必要な時間とコストを削減でき、Go-To-Marketまでの時間を大幅に短縮可能となる。また増設や拡張の煩雑化からも解放される。顧客に"かんたん"を届ける、それがDell EMCのHCI」(永長氏)。

HCIが求められる理由として「最新のテクノロジトレンドを最適な構成でかんたんに届けてくれる」と永長氏
データ保護ストレージ「Dell EMC Data Domain 6000/9000シリーズ」

 バックアップ専用ストレージにフラッシュを搭載した新たなラインアップがData Domain(DD) 6000および9000だ。今回は「DD6300」「DD6800」「DD9300」「DD9800」の4モデルが提供され、いずれのモデルもフラッシュSSDを標準搭載している。これによりレスポンスタイム最大10万IOPS、レイテンシ20ミリ秒を実現しており、永長氏は「フラッシュを搭載したことで、保護ストレージの域を超えた圧倒的なパフォーマンス」と強調する。

Data Domainアプライアンスの4つの新モデル

 OSには新たに開発された「Data Domain OS 6.0」が搭載されており、クラウドへデータを階層化して最大150PBまで保存する「Data Domain Cloud Tier」や、Hadoopとの統合強化、分散重複排除を実現する「Boost for File Systems」などが実装されている。「クラウドファーストを指向する顧客のために開発した。企業が150ペタバイトのデータをもつことは数年後にはあたりまえになる」と永長氏が言うとおり、クラウドに長期で大量のデータを格納したいユーザのために、データ階層化という機能でもってそのニーズに応えている。価格はDD6300モデルの最小構成で580万円から。

Data Domain OS 6.0の特徴。クラウドの階層化ストレージ機能のほか、Hadoopとの統合強化、Software-Defined、BoostFSなどが実装されている

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 永長氏はDell EMC World 2016で掲げられたテーマとして

・フラッシュ
・スケールアウト
・Software Defined
・ハイブリッドクラウド
・データ保護

の5つを挙げている。今後、Dell EMCがエンタープライズに提供していく製品はこのテーマに沿ったかたちで開発されていくことになり、今回発表された製品群もこれらを強く意識していることがわかるが、どちらかというと、サーバーをもたなかった旧EMCのポートフォリオを旧Dellの製品が補完しているという印象だ。

今回発表の新製品を加えた新たなDell EMCストレージの各製品の棲み分け。旧EMCのフラッシュアレイが中心であることがわかる

 5月に米国ラスベガスで行われた「EMC World 2016」においても、エンタープライズビジネスを展開することになるDell EMCでは旧EMCの製品をベースにしていく意向が示されており、統合から2カ月経った現在もその方針が継続されていると見るべきだろう。

 気になる日本法人の統合だが、はっきりとした時期は示されていない。今回発表された新製品についてはデルとEMCジャパンのそれぞれが営業/販売活動を行っていくとしている。

 永長氏は「法人としてはまだ別々のかたちだが、サポートやオペレーションなどを含め、徐々に一緒に活動していく雰囲気が醸成されつつある」と語り、統合に向かって順調に進んでいることを強調する。

 今後はハードウェアに加え、ソフトウェアやサービスといった分野でのシナジーが期待されるところだが、もっとも重要なのはクラウドでの成果を出すことだろう。旧Dellも旧EMCもクラウドで大きく成功したとは言い難く、統合後はクラウドビジネスでの軸足を早急に固める必要がある。

 そうした中、今回発表されたハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品は、ITトレンドが本格的なハイブリッドクラウド/マルチクラウドへと向かいつつある現在、Dell EMCにとって大きなインパクトをもつ可能性が高い。競合とのシェア争いもふくめ、引き続きHCI分野には注目していく必要があるだろう。