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【Interop 2013】今年も大盛況、SDN関連展示を集めた「SDN ShowCase」
実際のユースケースを想定したソリューションも増加
(2013/6/13 10:40)
「Interop Tokyo 2013」ではSDN(Software Defined Networking)関連ソリューションを集めた「SDN ShowCase」のコーナーが設けられている。各社の製品やソリューションをそれぞれ展示し、ミニセミナーを開催するとともに、相互接続などの検証を行っている。
昨年のSDN ShowCaseはOpenFlowスイッチなどの基礎技術が中心だったが、今年はより応用的な、クラウドプラットフォームとの連携や、管理、WANやQoS、実際のユースケースを想定したソリューションなども目立った。また、OpenFlowに限らないSDNも見受けられた。
クラウド基盤ソフトとの連携ソリューション
今回のSDN ShowCaseで特に目立ったのが、OpenStackやApache CloudStackなどのクラウド基盤ソフトとSDNを組み合わせたソリューションだ。
もともとSDNが必要とされる理由のひとつとして、仮想サーバーを一動作でプロビジョニングしたりマイグレーションしたりする操作にネットワークを追従させる、というものがあった。そうした仮想化されたサーバー管理とネットワーク管理を一元化して自動化する、オーケストレーションが本格化してきたようだ。
各社とも、OpenStackやApache CloudStackのネットワーク管理サブシステムから自社SDN製品を扱うためのプラグインを、オープンソースにしたり本家にコミットしたりといった方法で提供している。
OpenFlowの仮想ネットワークの試験や設計ができる「VOLT」
NTTコミュニケーションズの展示では、OpenFlowの実ネットワークの構成や経路情報を丸ごと複製したテスト環境を作成して、仮想ネットワークの試験や設計ができる「VOLT(Versatile Openflow vaLidaTor)」をデモしている。テスト環境では、フローテーブルを吸い上げて構造を3Dグラフィックでダイナミックに表示。ホスト間の疎通など、フロー定義が正しいかどうかをチェックできる。また、同じ3Dグラフィックの構造画面でフローを設計し、それを実ネットワーク用に書き出す機能も持つ。
OpenFlowの最新バージョンに対応した製品も
OpenFlowの最新バージョン規格であるOpenFlow 1.3に対応した製品や、関連または類似する機能の製品も登場している。ShowNetのPODでも、OpenFlow 1.3.1対応の製品を並べて相互接続検証するラックが設けられている。
PODのOpenFlow 1.3.1相互接続検証では、OpenFlowコントローラとしてIxiaのOpenFlowテストソリューションが動作している。
OpenFlow 1.3の機能にQoS(帯域制御)がある。トーメンエレクトロニクスの展示では、OpenFlowスイッチのCentec Networks V350と、NTTデータのOpenFlowコントローラの組み合わせで、OpenFlow 1.0ベースのコントローラを拡張して帯域制御を実現しているという。また、HPも、OpenFlowでの帯域制御でMicrosoft Lyncによるビデオ会議をデモしている。
WANでのSDN活用製品
WANでのSDNも何点か見られた。NTTコミュニケーションズでは、SDNの考えかたをMPLSに活用し、コントローラがMPLSパスを集中的に制御することで、時間・場所・帯域をネットワークのユーザーが予約できるシステムを展示している。さらにそれを進め、Stateful-PCEPプロトコルにより遅延やノイズなどを測定しリアルタイムにパスを切りかえる技術もデモしている。
サイアンの「blueplanet」は、企業やデータセンターなどの間のネットワークをSDNで管理するソリューション。ネットワークをグラフィカルに表示する機能や、OpenStackとWANの連携などをデモしている。
CTCは、Yahoo! JapanのVPLSネットワーク上でOpenFlowを使って、IPアドレスやVLAN IDの重複が可能なマルチテナントネットワークを実現するソリューションを展示している。
無線LANやセキュリティ製品
ストラトスフィアは、SDN技術によってPCやタブレットなどを有線や無線LANで社内ネットワークにつないだときに、どの物理ポートに接続しても所属するネットワークセグメントに参加させる「OmniSphere」を展示している。ユーザー認証やクライアントの専用ソフトによらず、登録してあるMACアドレスをベースにネットワーク側で判別する。
また、NTTデータでも、OpenFlowコントローラ「バーチャルネットワークコントローラ2.0」をフレームワークとして使ったサンプルとして、ユーザーや部署ごとの“マイネットワーク”に接続する例をデモしている。
ラドウェアとエーピーコミュニケーションズは、それぞれOpenFlowを使ったDDoS攻撃対策ソリューションを展示している。
Infobloxでは、同社が参加しているFlowForwarding.orgによるオープンソースのソフトウェアOpenFlowスイッチ「LINC」について展示。OpenFlow 1.3.1やOpenFlow-Config 1.1に対応しているという。展示では、Intelの“ホワイトボックス”スイッチのほか、Raspberry Piでもスイッチを動作させていた。
NTTデータの「Hinemos仮想ネットワーク管理オプション」では、最近の機能であるファイアウォールやロードバランサをOpenFlowで簡易的に実現する機能や、画面上でネットワークを設計する機能、コストベースでパスを決める機能などをデモしている。
IBMは、11日に発表した「IBM SDN Virtual Environments(VE)」について展示している。VMwareのハイパーバイザーにIBM SDN VEの仮想スイッチを組み込むことで、物理サーバー間をVXLANによるオーバーレイネットワークで接続し、MAC数やLANの制約、セキュリティなどの問題に対応するという。