仮想化道場

マルチベンダー環境のSoftware Defined Storageを実現する「EMC ViPR」

ストレージシステムをまたがった容易なプロビジョニングを実現

――ViPRでできることを、もう少し具体的に教えてください。

 ViPRでは、管理するストレージシステムを、パフォーマンスなどによりクラス分けして、ラベルを付けることができます。ラベルは、複数の種類のストレージを同一のストレージラベルに仮想的に登録することができますので、例えば当社のVNXとNetAppのストレージを中程度のパフォーマンスを持ったストレージとしてプール化する、といったことができるわけです。

 そして、VMware vSphereなどの仮想化インフラと連携して、プロビジョニングの自動化を実現します。サービスカタログから使用したいストレージ項目、例えば先ほどの“中程度の性能のストレージプール”を選択するだけで、ハードウェアをまたいで自動的にストレージをプロビジョニングしてくれるのです。ユーザーが、ストレージシステムの構成やハードウェアを知らなくても、簡単にプロビジョニングできるわけですね。

 本来、プロビジョニングを行う時には、ストレージシステム固有の複雑な操作やコマンドが必要ですが、ViPRを利用すれば、最低限必要な入力項目が1画面で表示されるだけで、後の複雑な操作やコマンドは、ViPRが、用意されているスクリプトを使って自動的に処理してくれます。

 今まで、ストレージ管理者が手間をかけて行っていた作業がスクリプトにより自動化されるため、ヒューマンエラーが起こったり、作業終了までに時間がかかったり、いったこともなくなります。プロビジョニング画面から必要な項目を入力すれば、深夜であろうと、休みであろうと、ViPRがすぐに作業をしてくれるのです。

ViPRを使えば、さまざまなパフォーマンスを持つストレージをラベルを付けてプール化できる
サービスカタログからメニューを選択するように、ストレージのプロビジョニングが行える
複雑な処理もViPRがバックグラウンドで行うため、ユーザーは簡単な項目を入力するだけでストレージのプロビジョニングが行える
人が手動で行っていた作業を自動化することで、ミスや勘違いなどのヒューマンエラーを排除する

 またプロビジョニングに関しては、承認ワークフローと連携することができます。例えば、ユーザーがプロビジョニングを行おうとした場合に、管理者や責任者に通知がメールされます。そのメールにしたがって、承認ボタンをクリックしないと、プロビジョニングは行われません。

 コストが高いオールフラッシュのストレージをユーザーが利用しようとした場合には承認が必要になるようにしたり、大量のストレージ容量が必要な場合も承認が必要になるように設定したりできます。

 もう一つ、ViPRで重要な機能としては、複数の企業が同じデータセンターを利用する場合、ストレージをマルチテナント化して提供する機能が挙げられるでしょう。これにより、データセンター事業者は、ViPRにより仮想化され、プール化されているストレージを自由に各テナントに追加することができます。これによりデータセンター全体では、ストレージシステムを高い効率で運用することが可能になります。

 また、LDAPやActive Directoryなどのディレクトリィサービスと連携して、プール化したストレージを特定のユーザーだけが利用できるようにすることも可能です。

ViPRでは、プロビジョニングなどに関しては、承認ワークフローを作成することも可能
マルチテナント機能、LADPやADを使ったユーザーやプロジェクトごとにストレージをひも付きけることもできる
LDAPやADなどのユーザー認証機能を使えば、ユーザーごとに使用できるカタログを変更可能

(山本 雅史)