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快適な「遠隔会議」の環境をオフィスと自宅のどちらにも~"音"でハイブリッド型ワークスタイルの実現に貢献するヤマハ

 新型コロナウイルス問題によって、オフィスワーカーの間でいま急速に「テレワーク」が広がっている。その際のコミュニケーションにおいて中核となるのが「遠隔会議」だが、声が途切れたり、雑音で相手の声がよく聞き取れなかったり、品質面で何かと不安定な面もある。

 こうした遠隔会議に関する音の悩みを解決するのが、音響のプロであるヤマハだ。オフィス一辺倒でない、かとって完全在宅勤務でもない。そんな時代の新しい働き方を強力にサポートするという。

 今回は、ヤマハ株式会社 音響事業本部 コミュニケーション事業部 マーケティング&セールス部 マーケティンググループの西和子氏に、主に遠隔会議と音の観点から最新動向をうかがった。

コロナ禍で再発見、「遠隔会議」の圧倒的便利さ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題をきっかけに、在宅のままで仕事をする「テレワーク」「リモートワーク」が脚光を浴びている。4~5月の緊急事態宣言に際して、初めて"在宅勤務"にチャレンジした方も少なくないはずだ。

 不慣れゆえに戸惑う声が聞かれる一方で、「遠隔会議」の便利さにあらためて気付いた人や企業は多い。テレビ電話感覚で複数人が同時にコミュニケーションする手段として、存在は知られていたものの、ビジネスコミュニケーションにおいては「人と直接会う」ことに対するプレゼンスが、実務面・心理面いずれの観点からも圧倒的に高い。遠隔会議の導入は、特に中小企業では後回しにされてきたのが実態だろう。

 しかし実際のところ、遠隔会議には遠隔会議ならではのメリットがある。なにより、会議場所に足を運ばずに済むため、時間やコストを圧倒的に節約できる。必要な機材も、一般的なノートPCやスマートフォンで十分に事足りる。

 COVID-19の発生からすでに半年以上が経過したが、感染再拡大への懸念は根強い。それだけに遠隔会議ニーズは今後も高まり続けるとみられるが、そこで気になってくるのは「会話品質」だ。特に音声の聞き取りやすさ・途切れにくさは、会議をスムーズに進行するためにも重要なポイントになってくる。

市場シェアナンバー1、小~大規模向けにラインアップを持つヤマハ

 ヤマハは、一般的にはピアノをはじめとした楽器製造で著名だが、IT業界では法人向けネットワーク機器の分野でも名高い存在だ。そして、遠隔会議用スピーカーフォンに関しても2006年から取り組んでおりいまや"老舗"といって差し支えない実績を誇る。「Web会議用マイクスピーカー市場」におけるヤマハのシェアは56.3%で、これは市場ナンバー1(※1)だという。

※1:

富士キメラ総研調べ:「2019コミュニケーション機器マーケティング調査総覧」 「音声コミュニケーション機器(マイクスピーカー)の国内市場規模」(金額)

 スピーカーフォンとは、マイクとスピーカーが一体になったコミュニケーション機器のことで、こちら側の会話音をマイクで拾い、相手側の音をスピーカーに出すというのが最も基本的な機能だが、電話と異なり、複数の人々の発話を同時に収音したり、スピーカーで聞いたりできる。例えば東京と大阪で遠隔会議を行う際には、それぞれの会議室に1台ずつ置く、というのが最も典型的な使われ方だ。

 なお、スピーカーフォンはPCやスマートフォンの周辺機器という扱いになるので、実際の遠隔会議は、PCやスマートフォンでZoom、Microsoft Teamsといった各種Web会議ツール類と組み合わせて開催することになる。

 お気付きのように、スピーカーフォンの開発にあたってはヤマハが得意とする音声処理技術がふんだんに盛り込まれている。電子機器と音響、両方に強みを持つ企業だからこそ送り出せるスピーカーフォン、それがYVCシリーズだ。

スピーカーフォンのメリットは「簡単セットアップ」「装着ストレスなし」

 さて、遠隔会議における音声入力の方法として、真っ先に思い浮かぶのがノートPCの内蔵マイクだろう。また、ヘッドセット・イヤフォンマイクなどには安価なものも多く、入手しやすいため、遠隔会議を行う場合にはよく利用されている。

 これらに対して、スピーカーフォンには「1台で複数名が同時に参加できる」という点以外にどんなメリットがあるだろうか。

 西氏がまず指摘するのは、真の意味でのセットアップの簡単さだ。ノートPCの場合は世代の新旧にもよるが、内蔵マイクの品質に大きなバラツキがある。使用環境などの悪条件が重なるとハウリングを起こしてしまい、うまく会話ができない、発言するたびにノイズがのってしまうという可能性もある。

 しかしヤマハのスピーカーフォン YVCシリーズであれば、マイクそのものの品質が高いことに加え、エコーキャンセルやノイズリダクションに代表される各種の音声処理技術を内蔵している。周辺環境に応じた自動調整も利くため、会議室・執務スペース・自宅の書斎といったシチュエーションを選ばず、安定的に利用することができる。

 例えば、エントリーモデルのYVC-200は個人の単独利用にも対応したモデルだが、こうした音声面の強みはもちろん、ヤマハのスピーカーフォンはPCに特別なドライバーや追加ソフトをインストールする手間なく、USBケーブルで接続するだけで使えるという、技術面でのハードルの低さも魅力だ。

特別なドライバーは必要ないため、PCにUSBケーブルで接続すれば利用できてしまうという

 ヘッドセットやイヤフォンマイクの場合、会議音声を周辺に聞かせずに済むため、プライバシー面・マナー面で有利だ。しかしテレワークが本格的に導入されると、遠隔会議の回数や時間も長くなりがち。1日数時間に渡ってヘッドセットを装着し続けては、やはり耳の痛みなどのストレスにつながりやすい。ちょっとした離席のたびにヘッドセットをつけ外ししなければならないのも、回数が増えてくるとやはり面倒に感じる部分だ。

 「非常に細かなところですと、ヘッドセットをずっとつけたままでいると、遠隔会議のコール音が突然鳴った時に耳に直接響くためビックリする……というのが意外とあるんです(笑)。スピーカーフォンでしたら、こうした心配はありませんし、それこそ会議中でなくとも、ずっとオンラインにしておくのもいいと思います」。

 スピーカーフォンを実際に使用しているユーザーから「直感的かつ瞬時にマイクがミュートできる」点を特に評価する声が多いという。例えばZoomで遠隔会議中、突然家族に話しかけられて会議音をミュートしたい時、一般的にはマウスを操作して、ソフトウェア上のマイクミュートボタンを押さなければならない。

 その点、YVCシリーズにはマイクミュート用の物理ボタンがわかりやすい場所にあらかじめ搭載されている。身ぶり手ぶりで話している最中、手をサッと伸ばしてボタンをワンタッチするだけで済むのは、やはり専用ハードウェアならではの利点だ。

 とはいえ前述の通り、マナー面などからヘッドセットなどの方が適している場合もある。遠隔会議で利用する機材はこれで十分と決めつけず、適材適所で選択していくことが大事だろう。

物理ボタンが搭載されているので、マイクのミュート/再開、ボリュームの上げ下げなどを直感的に行うことが可能だ

「テレワーク相談窓口」に問い合わせ殺到、オープンから3カ月で1000件超え

 なおヤマハでは、政府の緊急事態宣言に合わせる形で4月に「テレワーク相談窓口」を開設した。テレワークに初めて取り組む、どうすればいいか分からないという利用者の疑問に広く答えたいとの狙いからだ。

 西氏によれば、テレワーク相談窓口を開設して3カ月で1000件を超える問い合わせがヤマハのカスタマーサポートに寄せられるなど、テレワーク導入に悩む企業関係者の多さがうかがえる。

 「4~5月の段階では、初めてテレワークをやるというお客さまの相談が本当に多かった印象です。やはり緊急事態宣言で、分からないけどもテレワークをやらざるを得ないという方が多かったのだと思います。『スピーカーフォンをつないだけれども音が出ない』といった、遠隔会議の導入段階の相談も多くありました」。

 寄せられた相談のうち、遠隔会議に関するものの上位2位から5位は、音途切れや雑音が入ってしまう、Bluetooth接続がうまくいかない、会議室の条件に合わせたスピーカーフォンの選び方などが中心だった。

ヤマハでは、テレワーク相談窓口を開設している。Webサイトから相談申し込みが可能だ

問い合わせ数1位は完全に予想外? 「密を避けながら会議したい」

 気になる相談数1位だが、西氏らヤマハの関係者がまったく想定していなかった「ソーシャルディスタンス」関連だった。確かに、遠隔会議でソーシャルディスタンスが問題となるとは思えないが、果たしてこれはどういう意味なのだろうか。

 「ヤマハ社内では4~5月テレワークで在宅勤務が中心、会議室での会議はほぼ実施していないこともあって完全に盲点だったのですが、相談内容を拝見すると、『オフィスに出社されている方と在宅勤務の方が混在した形での遠隔会議をしたい』という方がとても多かったんです。またこの時、例えば8人収容の会議室に8人が入ってしまうと、それこそ密な状態になってしまいます。そこで広めの会議室で、席の距離をとろうとすると、今度はマイクで声を拾えきれない。そこでどうすればいいか?といったご相談でした」。

 最上位モデルのYVC-1000は8名以上の同時利用を想定した上位モデルだが、標準同梱されるマイクは1台。この1台で、スペック上は半径3m(推奨値。最大で5m)にいる参加者の声を収音できるが、広めの会議室でソーシャルディスタンスを確保した状態では、どうしても距離的な限界が出てしまう。

 もちろん感染症対策だけを優先するのであれば、従業員がそれぞれ自宅から、1人1台のスピーカーフォンを用意して遠隔会議に臨むのが理想だ。しかし現実には、人々が実際に一カ所に集まって、とはいえ密集状態を避けるために一部参加者を自宅からリモート参加させるというような苦肉の策をとらざるを得ないケースもある……という訳だ。
 ただ、ヤマハ製品は明確な解決策がある。YVC-1000の場合、専用拡張マイクを使えば最大5台までマイクを接続できる。ソーシャルディスタンスを確保するのであれば、想定よりもやや多めにマイクを用意すればいい。また、スピーカー音量が十分でないとなれば、YVC-1000にアンプ内蔵スピーカーを最大2台接続することも可能だ。

 そしてYVC-330には、本体そのものを2台連結させる機能がある。これにより、想定される参加者数のおよそ2倍、10名程度の同時参加が可能になる(ソーシャルディスタンスを確保する場合は、この想定より少ない人数となるだろう)。

YVC-330を2台連結させたところ

 YVC-1000のマイク増設、YVC-330の連結機能は、本来、会議参加者数を柔軟に拡張するために用意されていた機能だ。しかしコロナ禍において図らずも、ソーシャルディスタンスを確保する効能が現れた格好だ。西氏も「お客さまからの相談を受けて、われわれも機能を活かせる新しい側面に初めて気付いたほどです」と、率直に語っていた。

  またYVC-330は、周囲の騒音を抑制して話者の声だけを捉える「SoundCap」テクノロジーを利用できるため、密閉空間の会議室ではなく、オープンスペースで会議を行うことも可能になる。密閉を避ける目的で、会議室でもドアを開け放っている場合も多いので、そうした場合の雑音も軽減できるだろう。本来の目的とは異なる形で、搭載した機能が役立っているのだ。

「マイクは"相手の耳"」

 続いて、遠隔会議を快適にするためのコツについても、西氏にうかがった。

 「遠隔会議はマイクの品質がもちろん重要ですが、やはり通信回線の安定性も重要です。本当に大事な会議の時は、PCをWi-Fi(無線LAN)ではなく有線LANで接続することをオススメします」。

 ごく基本的なことながら、「デバイス選択」にも気を付けてほしいという。通常、どの遠隔会議ツールであっても、音声の入出力に使うデバイスは複数から任意に選択できる。ノートPCにYVCシリーズをUSBケーブルで接続していても、ソフトウェア側のデフォルト設定によってノートPC内蔵マイクが選ばれてしまっていては宝の持ち腐れ。不意に設定が自動変更される可能性もあるため「開始前の3秒、毎回確認」を徹底したい。

 「そしてもう1つ、マイクをぜひ『相手の耳』のように扱ってください。何の気なしにマイクのそばで大きな音を出したとしても、それをヘッドセット越しに聞く方は何倍もイヤな音に感じてしまいます。会議中は特に丁寧に、マイクを機械ではなくあくまで話し相手の耳だととらえていただければ。例えば、マイクを動かしたい時は一度ミュートにするのも良いでしょう」。

無料貸し出しで実際の使い勝手を試してみて

 なお、「とにかく一度使ってみたい」「当社の会議室ではどの製品を使えばいいか試してみたい」といった声に応えるべく、ヤマハではスピーカーフォン製品の無料貸し出しを実施している。現在のラインアップも3機種あり、想定される同時参加者数や、マイク1つあたりで収音できる範囲などのスペックが異なるため、やはり正式購入前に実環境で試すのがベストだと、西氏は助言する。

 「無料貸し出しの期間は1週間で、Webフォームなどからお申し込みいただけます。貸し出し機材は販売代理店がお届けする格好ですが、一緒にガイド誌も用意していますので簡単にお試しいただけると思います。音に関してはお客さまの好みもあります。試してそのままお返しいただいでもまったく問題ありませんので、ぜひ気軽にお問い合わせください」。

販売代理店経由にて、機器の無料貸し出しを行っている。サイトはこちら

 なお、ヤマハ製スピーカーフォンの現行製品ラインアップは4機種。うち3機種が、音声に特化したモデルにあたる。その最上位モデルは「YVC-1000」で、8~40名が同時参加する会議での利用が想定されている。

 対する「YVC-200」は最も安価なモデルで、1~4名でのミーティングに適した仕様。持ち運びを考慮してバッテリー駆動をサポートし、本体サイズもコンパクトに仕上がっている。最新モデルは、2019年11月に発売された「YVC-330」だ。こちらは4~6名規模での会議に最適とされ、雑音の多い環境でも快適な会話を実現する「SoundCap」テクノロジーにも対応している。

 是非、在宅からオフィスの打ち合わせスペースまで、自社の遠隔会議環境の改善に役立てて欲しい。

1~4名でのミーティングに適しており、持ち運びを考慮した小型モデル「YVC-200」。このほか、白色のカラーバリエーションも用意されている
4~6名規模での利用に向く中型モデル「YVC-330」

まとめ~オフィスだけでも、在宅だけでもない「ハイブリッド」な働き方のために

 「ソーシャルディスタンスを守っての遠隔会議」の例からも分かるように、実は「遠隔会議」と一口に言っても、そのシチュエーションはまさに千差万別。仮に会議参加者が合計10名として、全員がPC1を台ずつ使う時もあれば、5名がオフィスに集まり、残り5名が自宅から参加するというシーンも十分考えられる。

 同様に、ある1名の従業員が常に自宅からの遠隔会議になるとも限らない。週5日の勤務のうち3日は出社、2日は在宅という勤務パターンとなれば、日によって使える会議用デバイスも変わってきてしまう。

 つまり完全な意味でのテレワークではなく、オフィスワークと在宅ワークがミックスされた、いわば「ハイブリッドワーク」的な就業スタイルこそが、むしろ標準的な働き方になってくるのではないか──西氏らヤマハのメンバーはそう考えている。

 新型コロナウイルス問題を巡っては、感染クラスターとなる場所が飲酒・会食を伴う店舗などから広がりをみせ、一般的なオフィスでも集団感染が増えているという。感染を防ぎつつ、しかし仕事のスピードは落とせないという難題をクリアするためには、急な仕事場所変更をものともしない、ハイブリッド型ワークスタイルの重要性はますます高まるだろう。

 会議に関する悩みも、より多様化していきそうだ。ソーシャルディスタンスを確保するための参加者抑制、換気のためのドア開放による機密漏えいの心配など、考慮すべき点は多い。

 その意味においてヤマハのYVCシリーズは、参加人数、場所、周辺の音環境といった変動要因をうまく吸収・調整し、遠隔会議そのものに集中するためのソリューションとして、非常に有効な選択肢になる。無料貸し出しでぜひ一度、その利便性を肌で感じてほしい。