サイボウズ担当者が語る「kintone」活用術
サイボウズ担当者が語る「kintone」活用術(2)
~不動産とアパレル通販の顧客事例
(2013/5/28 06:00)
こんにちは。サイボウズ株式会社「kintone」プロモーション担当の前川です。好きなラーメンは、しおラーメンです。今回もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、連載第2回目の今回は「kintone」をご導入いただいたお客さまの活用事例をいくつかご紹介したいと思います。今回ご紹介するのは、千葉県にある地元密着型の不動産屋さん「川島不動産」の事例と、女性に人気のアパレル通信販売会社「ベルーナ」の事例です。
ご覧のとおり不動産業、販売・サービス業と、両社ともまったく業種が異なりますが、それぞれどのように「kintone」をご活用いただいているのでしょうか。
OS依存の日報システムをたった1時間でkintoneに移行~川島不動産の場合
東西線・勝田台駅から徒歩5分ほどの場所に店舗を構える川島不動産。店内のカウンターにはAppleのMacやタブレット端末が配置され、Facebookページの広告が貼られるなどITへの投資に先進的なことが伺えます。
そんな同店では、社員の日報管理システムにMicrosoft Accessでベンダーに構築してもらったプログラムを利用していました。この日報管理システムはWindows XP環境で動作していました。しかし、社内のPCリプレースに伴い移行ができず、ついには1台のPCが日報専用端末として残り続けるという事態になり、終業時間になると日報入力待ちの列ができていたそうです。
そんな状況を打開すべく、新たなシステムを求めてIT製品の展示会でサイボウズブースに訪れた際に「kintone」と出会いました。
「見た瞬間、これだったらいける、と思いました。OSに依存しないクラウドサービスであること、システム(kintoneではアプリケーションと呼称)の作成もメンテナンスも容易で、当社のように専門知識をもった技術者も情報システム部門も無い少人数の企業で使うには最適でした」(川島不動産・ご担当者さま)。
さっそく日報アプリの作成に取り掛かったところ、わずか1時間で日報のフォーマットが完成しました。直感的に使える操作感のおかげで、スタッフの方々に使い方の指導を行うことも不要だったそうです。
また「kintone」はこういった業務アプリを無制限に作成できます。そこで川島不動産では日報アプリに続いて、来店した顧客情報の管理システムを「kintone」で作成しました。同店では、来客した顧客に「来店カード」という用紙を記入してもらい、その情報をもとに商談をすすめているそうです。
来店顧客を後から分析するために情報のデジタル化にはいち早く取り組み、Googleフォームを使ってデータ入力用フォーマットを用意していましたが、ここにも問題があったそうです。
「来店カードに記載されたデータを入力するだけなら十分に使えていたのですが、データがGoogleスプレットシートに登録され、それを後から編集できない点や検索性の悪さが不便でした。Excelでもできるが列や行が無尽蔵に増えて、そのうち使い勝手が悪くなることが予想できましたし、マクロを組むと標準的でなくなる。どれも“帯に短し襷に長し”という感じで……。そこで、これもkintoneでやってみようと思いました」(ご担当者さま)。
この問題を解決するために来店カード管理アプリの作成に取り掛かりましたが、こちらもたった半日程度でアプリが完成しました。また、Google フォームと同等の入力用のインターフェースにしたことで、システム移行によるスタッフの戸惑いは最小限に抑えられ、登録した情報の修正や検索の利便性は格段に上がったそうです。
さらに、同店で定期的に実施される全社ミーティングでは「kintone」の持つレポート集計機能がスタッフの注目を集めました。データ分析といえば、集計関数やグラフ生成の設定、条件を変えての再集計など手間の多い作業になりがちです。しかし「kintone」なら、ミーティング内で「○○の条件だと、どうなる?」とリクエストがあれば、その場で分析結果をビジュアル的に見せることができます。入力情報の即時分析が可能なkintoneによってスタッフのデータに対する意識が変わり、データ活用が意欲的になったそうです。
今後、川島不動産では「kintone」を使って、スタッフ個々が持っているさまざまなノウハウを形式知とする「川島不動産Wiki」の作成にも取り組みたいと意気込みを語っていただきました。
外部のWeb制作会社とのやり取りをkintoneに移行~ベルーナの場合
40代~60代女性向けアパレル・雑貨などのカタログ通販をはじめ、食品・ワイン・化粧品・サプリメントといった専門通販を幅広く事業展開している通販総合商社のベルーナ。最近では20代~30代女性を中心とした若い層にも力をいれており「篠田麻里子の95%はカワイイでできている」が決め台詞のテレビCMをご存知の方も多いのではないでしょうか。
そんな同社の通販事業では、カタログとともにネットショップ(ECサイト)が販売ルートとして重要な役割を果たしています。販売訴求力のある商品紹介ページをタイムリーに掲載していく必要があり、そのためページのデザイン・制作を行う部門では、デザインの品質や内容の正確さにこだわりつつ、効率的な作業フローを確立する必要があります。
そうした時に、外部のWeb制作会社とのやり取りがひとつの課題となりました。Excelファイルで作った依頼書を電子メールで送って、その後、電話や再度電子メールで連絡を取り合っていました。しかしこの方法のままでは、いずれ何からの問題が発生するのではと感じていたそうです。
「例えば、こちらで変更した依頼書を渡したにも関わらず、古い依頼書を参照したままで制作されると、最終的に意図とは異なるページなってしまい、再度修正の手間が発生します。また、実際にはまずないと思いますが、指示内容の改ざんも防ぐため、変更ログが記録されるような仕組みが必要だと感じていました」(ベルーナ・ご担当者さま)。
その後、サイボウズのカンファレンスに参加した際に偶然「kintone」を知り、導入に向けて社内で検討を重ねたそうです。外部制作会社と企業間で利用する場合、高い機密性が求められるため、自社の内規に準じた運用が可能か、セキュリティ性は担保されているか、という点は厳密にチェックが行われたそうです。その結果、問題はないと判断して導入に至りました。
「kintone」で依頼書を作るにあたり、今までのExcelのフォーマットになるべく近づけるように意識して設計を行いました。最初のバージョンができ上がるまでには2時間もかからなかったそうです。
そのほか、今までExcelではできなかった進ちょく確認もできるようになりました。もともとは、別のExcelファイルで進ちょく管理表を用意して作業が進行するごとに日付を記入して管理していたそうですが、現在は「Webページ制作依頼書アプリ」のなかで「入稿・初稿出し・戻し・直し・完了」などのステータスを管理する項目を追加しました。
実際に作業依頼書を「kintone」に移行したことで、最も危惧(きぐ)していた「最新の依頼書の確認漏れ」の対策はできているのでしょうか。
「トップページの最新情報に更新通知が表示されますが、必要な人に対して必要な情報がより伝わるようにメール通知も設定しています。参照する依頼書の内容はひとつのレコード情報なので、Excelファイルのようにどれが最新の依頼書か分からなくなることはありません。レコードにはコメントが書込めるので、以前のように依頼書を見ながら電話したりメールを送ったりするよりも、ずっと効率的にやり取りができています」(ご担当者さま)。
kintoneの魅力は、業種や業務内容を問わずに使える柔軟性
今回は、不動産業、販売・サービス業の全く異なる2社の事例をご紹介させていただきました。しかし「kintone」はほかにも製造業や介護・福祉業、建設業などさまざまな業種のお客さまにご導入いただいています。業務内容にあわせて自由にカスタマイズすることができるので、極端にいえば「使えない業種がないシステム」ともいえます。
皆さまの周りにも、もしかすると“システム化を諦めてしまった”業務が隠れているかもしれません。「kintone」なら、そういった業務も素早くシステム化することができるのです。
次回は「部門単位でのkintoneの活用方法」と題しまして、社内の現場での実用例をご紹介したいと思います。より汎用的で便利な使い方をご紹介させていただきますので、ぜひご覧いただけると幸いです。
それでは第3回でお会いしましょう! ありがとうございました。