特別企画

米Dell、エンタープライズソリューション部門の本社ラボ施設を公開

最適な温度管理を行うThermal Lab

 4つめは、Thermal Labである。ここは写真撮影が禁止されたが、空冷サーバーによる温度の変化を測定し、最適な温度管理を行うための検証を行っている施設だ。

 CPUに負荷をかけたり、ファンを高速で回転させたりといったことを行うと同時に、電源の配置をどうするかといった設計も行うことになる。さらに、ここでは、Dellが開発を進めている水冷式を用いたラックの検証も実施。将来的な実用化を目指す最先端技術を用いた水冷システムの実験も行っている。

Thermal Labの入り口の様子。DCS Architecture Labと表記されていた
これが実用化を目指している水冷システム。漏電しない液体を使用することで、ボードを直接、水で冷やす。液体の高いコストや大幅な重量増が課題(提供:Dell)

e-Bay向けシステムの設計・検証を実施するEvergreen Lab

 最後が、Evergreen Labである。ここは、次世代アーキテクチャを用いた、e-Bay向けシステムの設計、検証などを行っている施設だ。ここも写真撮影は禁止されたが、ラボ内では3人のエンジニアが勤務。DCSに基づいて、eBayの要件を聞きながら、システムの最適化を行っているという。

 また、次世代技術のひとつとして、水冷化などにも取り組んでいるほか、電源システムの最適化などによるエネルギー消費の改善なども行っている。ちなみに、Evergreenという名称をつけたのは、eBayが目指している環境に配慮した企業方針にのっとったものだとのこと。

 ここで実証したノウハウは、製品づくりなどにも反映されることにそうだ。

Evergreen Labの入り口の様子

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 このように、Dellは、本社ラボ施設において、ユーザーに納品する前に最適化を図るための施設を用意し、それぞれの要求仕様にあわせた設計、チューニングを行っている。

 世界の数多くのクラウドプロバイダーへの導入実績や、大手企業などへの導入に向けた体制づくりに余念がないといえよう。

 Dellのソリューションプロバイダーへの変革を象徴する取り組みのひとつだといえそうだ。

大河原 克行