特別企画

企業の「コレがしたい!」を実現する課題解決型NAS
バッファロー「TeraStation WSS WS5000R2」

 「Windows Server 2003搭載サーバーや古くなったLinuxベースのNASをリプレイスしたい!」、「災害対策に強いデータ保存環境を構築したい!」など、企業の「やりたいこと」に柔軟に対応できるのがバッファローのWindows Storage Server 2012 R2搭載NAS「TeraStation WSS」だ。実際にどのようなストレージ環境を実現できるのかを見てみよう。

尽きない企業の悩み

 大切なデータを安全、かつ効率的に、しかも長期間安心して保管するにはどうしたらいいか?

 このような悩みを抱えている企業も少なくないことだろう。特に来年の2015年7月は多くの企業で未だ現役となるWindows Server 2003のサポートが終了する年に当たる。Windows XP対策で手が回らないという声も聞こえてきそうだが、企業の屋台骨を支えるサーバーのリプレイスが来年に控えていることで、より重要度の高いサーバー対策をどのように進めるかは、企業のIT担当者にとって頭の痛い問題だ。

 また、長きにわたって災害対策に悩み続けている経営者やIT担当者も少なくないことだろう。データの保全対策がいかに大切かを身をもって体験した大災害からすでに年月が経過したものの、未だにバックアップや遠隔地へのレプリケーションなど、具体的な対策が進んでいない、もしくは一部の未対策のシステムが残っているという企業は少なくない。そろそろ本腰を入れて対策をしなければならないタイミングと言えそうだ。

 このような状況の中、注目を集めているのがバッファローの「TeraStation」に代表されるWindows Storage Server 2012 R2を搭載した「TeraStation WSS」だ。

 既存サーバーのリプレイスや災害対策として、さほどコストをかけずにデータを安全に保管できるNASを利用するケースは増えてきているが、Windows Storage Server 2012 R2搭載製品は、その中でも既存のシステムとの親和性の高さやカスタマイズに容易に対応できる柔軟性の高さから、企業を中心に採用例が増えてきている。

 では、具体的にどのような点が企業のニーズに合っているのだろうか? 4ドライブ搭載モデル「TeraStation WSS WS5400DWR2」を実際に使いながら、そのポイントをチェックしていこう。

Windows Storage Server 2012 R2を搭載したバッファローの「WS5400DWR2」。4ドライブモデル
「WS5400DWR2」正面
側面
背面

Active Directoryを活用できるメリット

 Windows Storage Server 2012 R2を採用したバッファローのTeraStation WSSの特徴として見逃せないのは、何と言っても「Active Directory(以下AD)」を利用できることだろう。

 ADは、ネットワーク上のユーザー情報やコンピュータなどを管理するしくみのことだ。ネットワークに接続するユーザーを認証したり、ユーザーごとに権限を設定したり、ネットワークに接続されているコンピュータやプリンターの利用をユーザーやグループごとにコントロールすることができる。

 すでにWindows Server 2012 R2などでADが導入されている環境では、TeraStation WSSを既存のドメインに参加させることで、登録済みのユーザーやグループをTeraStation WSSからシームレスに利用することができるようになる。このため、TeraStation WSSの導入時に、ユーザーを追加したり、グループを設定したりといった設定が必要ないことになる。

AD環境が構築済みであれば、システムのプロパティからドメインに参加させることが可能
共有フォルダーのアクセス権を設定するときにドメインのユーザーやグループをそのまま参照できる

 LinuxベースのNASの場合でも、ADに参加できる場合があるが、ユーザー数やグループ数に制限があることもある。TeraStation WSSも、今回、取り上げた4ドライブのWS5400DWR2はWindows Storage Server 2012R2 Workgroup Editionとなるため、接続ユーザー数は最大50ユーザーに制限されるが、ラックマウントタイプのWS5400RSR2や6ドライブのWS5600DSR2は、ユーザー数無制限のStandard Editionが搭載されているため、制限なしにADと連携できる。

 NASを導入する度にユーザーやグループを追加する作業が発生したり、社内の人事異動があった際に何台ものNASで作業しなければならないということがなく、1台のADサーバー上で一元的にユーザーを管理できるのは、非常に便利だ。

 もちろん、小規模な環境であれば、ADを使わずに利用することもできる。Windows Storage Server 2012 R2は、通常のWindows Server 2012 R2では必要なCAL(クライアントアクセスライセンス:接続するパソコンやユーザー数の分必要なライセンス)が不要となっているため、リーズナブルな構成が可能だ。

 ただし、後々、NASを増設したり、リプレイスする際の手間もかからないため、基本的には小規模な環境でもADを導入することをおすすめしたいところだ。初期導入時のADのセットアップに若干、手間はかかるが、その後の管理は比べものにならないくらい楽になるだろう。

ソフトウェアをインストール可能

 続いての特徴は、自由にアプリケーションをインストールできる点だ。Windows Storage Server 2012 R2は、Windows Server 2012 R2がベースとなっているため、市販の対応ソフトウェアをインストールして利用することが可能となっている。

 Windows Storage Server 2012 R2対応済みのソフトウェアについては、各ソフトウェアベンダーのサイトで確認するのが確実だ。なお、法人向けソフトウェアはほとんどの場合無料のトライアルが提供されている。無料トライアルで問題のないことを確認してから導入すると安心だろう。

Windows Storage Server 2012 R2がベースとなっているため、通常のWindows向けソフトウェアをインストールして利用することができる

 これにより、たとえば、高速なバックアップソフトやデータベースのバックアップに対応したバックアップソフトなど、各社が提供しているバックアップソフトの中から自社のニーズにあったソリューションを選ぶことができる。

 「どうやってNASにソフトウェアをインストールするの?」と疑問を感じる人もいるかもしれないが、TerraStation WSSには、前面パネルを開けたところにディスプレイ接続用のD-subポートが搭載されており、製品背面のUSBポートにはUSB接続のキーボードやマウス、DVDドライブなどが接続可能で、メンテナンス時に利用することができる。

(メンテナンス時)フロントにディスプレイポートを搭載。USBキーボードやマウスを接続することでローカルでの操作が可能だ

 もちろん、リモートデスクトップでクライアントからアクセスしてインストールすることもできるが、バックアップソフトなどではリカバリーする際に、どうしてもローカルでの操作が必要になる。そういったシーンでも、TeraStation WSSでは問題なく操作ができるようになっているわけだ。

 試しに、対応ソフトウェアの中から、バックアップソフトのシマンテック「System Recovery Server Edition」をインストールしてみたが、簡単なインストールですぐに利用することができた。

 サーバー用のバックアップソフトというと敷居が高いイメージがあるが、「System Recovery Server Edition」では非常にわかりやすいユーザーインターフェイスが採用されており、ウィザード形式でバックアップ対象のドライブやバックアップ先のドライブ(USB接続HDDやネットワーク上の別のNASなど)を選択するだけで、簡単にバックアップの設定ができた。

 データだけでなく、OSそのものやインストールされているソフトウェアもイメージとして一緒にバックアップできる上、バックアップの時間も短時間でスピーディだったのが印象的だ。リカバリもわかりやすい操作となっており、いざというときにも慌てずに済みそうだ。

 また、物理マシンを仮想マシンに復元したり、異なるハードウェアに復元することも可能となっており、将来的なサーバー統合やハードウェアの交換などにも対応できるようになっている。

 もちろん、ライセンスの扱いには注意が必要だが、いざというときにイメージを仮想化してサーバー上で動作させることができるのも、Windows Storage Server 2012 R2のメリットと言えるだろう。

シマンテックの「System Recovery Server Edition」。高度な機能を搭載した市販のバックアップソフトを利用できる

 もちろん、バックアップソフト以外にもサードパーティ製のソフトを利用することができる。代表的なのはウイルス対策ソフトウェアだろう。たとえば、トレンドマイクロの「Server Protect」などをインストールしておけば、万が一、NAS上にウイルスに感染したファイルが保存されそうになっても事前に排除することができる。

 このように、サードパーティ製のソフトウェアを使えるメリットは大きく2つある。1つは、前述したように必要な機能を搭載した製品を選択できる自由度の高さ、もう1つは管理の効率化だ。

 社内に複数のサーバーが存在する場合、それぞれに個別のソリューションを利用すると、操作方法をいちいち変えなければならないうえ、統合的に管理するのも難しくなる。特にバックアップソフトは、リストアなどのオペレーションミスがデータロスにつながる可能性があるだけに、複数の操作系が混在するのは好ましくない。

 その点、TeraStation WSSなら、既存のサーバーで利用しているバックアップソフトと同じものをそのまま使える可能性が高い。ボリュームライセンスで安価に導入できる可能性があるのもメリットと言えるだろう。

遠隔地とのレプリケーションも可能

 災害対策向けの機能として注目されるのは、ネットワークを介してデータを同期することができるレプリケーションの機能だろう。

 TeraStation WSSでは、大きく分けて2種類の方法でレプリケーションの機能を実装できる。1つはWindows Storage Server 2012 R2に搭載されている「DFSレプリケーション」を利用する方法、もう1つはサードパーティ製のレプリケーションソフトを利用する方法だ。

 DFSレプリケーションは、OSの機能として実装されているためAD環境下であれば追加コストなしで利用できること、そしてTeraStation WSS同士だけでなく、汎用的なWindows Server 2012 R2との間でも同期をできることがメリットだ。

 また、Microsoft Azure(旧Windows Azure)連携をクラウドの一手段として利用できるのも、管理運用面で大きなポイントだろう。なお、Windows Azureとの連携ソリューションについては、ベーステクノロジー株式会社が同社ソフトウェアとのセットで、高信頼性とセキュリティに優れたデータバックアップサービスとして「QuiXストレージ for TeraStation WSS」の販売を予定している。

 これにより、ファイルサーバーやアプリケーションサーバーなど、別の用途で利用しているWindows Server 2012 R2のデータをTeraStation WSSに複製として保存したり、本社にはWindows Server 2012 R2、遠隔地の支店にはTeraStation WSSを設置し、本社と支店の間でデータを同期するといったように、Windows Server 2012 R2をからめた柔軟な構成ができるようになっている。

 標準ではインストールされていないため、「役割と機能の追加」から「DFSレプリケーション」を追加インストールし、機能を使えるようにセットアップする必要はあるが、ブランチ(コピー元)とハブ(コピー先)のサーバーとフォルダを指定し、必要に応じてスケジュールを設定するだけと、はじめてでも簡単にセットアップできるだろう。

OS標準の機能で搭載されているDFSレプリケーション。役割と機能の追加からインストール後、コピー元とコピー先を指定するだけで利用できる

 より高度なレプリケーションが必要なら、サードパーティ製のレプリケーションソフトを利用することもできるが、Windows Storage Server 2012 R2のサポートが早期に実現されることを期待したい。

 このように、どのような環境で利用するのか、どこまでの機能が必要なのかによって、複数のソリューションを選択できるのが、Windows Storage Server 2012 R2を搭載したTeraStation WSSのメリットと言えるだろう。

 もちろん、レプリケーションは災害対策だけでなく、分散したストレージ環境でデータの整合性を確保したり、ファイルを集約/配信したい場合にも役立つ。たとえば、全社で共通して利用するファイルを本社から配信して、各支店のTeraStation WSSへと同期させたり、逆に各支店のデータを本社側へと集約することもできる。

 レプリケーション機能をうまく活用することで、業務の効率化を図ることも夢ではないだろう。

Windows 8.1との組み合わせに最適

 このように、Windows Storage Server 2012 R2を搭載したTeraStation WSSなら、用途や環境、コストなどに合わせて、自社に合ったストレージ環境に仕上げることが可能となっている。

 パフォーマンスも優秀で、CrystalDiskMark3.0.3aの結果は以下のようにシーケンシャルのリードで75MB/sを超える値をマークしている。Windows 8.1など、SMB2.0以降を採用したOSとの組み合わせで性能を発揮しやすくなっているため、最新のクライアントへの入れ替えを検討している企業にもおすすめだ。

 このほか、Windows 8.1との組み合わせであれば、ワークフォルダーなどの最近の機能を利用することもできるので、機能を有効にすれば、サーバー上のデータをクライアントと同期させることが可能で、会社に設置したサーバーのフォルダーをプライベートクラウドのように自宅や外出先からも利用することが可能になる。

 こういったクライアントとの組み合わせによって提供される新しいソリューションをいち早く体験できるのも、Windows Storage Server 2012 R2を搭載したTeraStation WSSの大きなメリットと言えるだろう。

 主な用途となるファイルサーバーとしての利用やバックアップ用途以外にも、追加する機能やインストールするソフトウェア、組み合わせるクライアントによって、柔軟な対応ができる製品となっている。Windows Server 2003/Windows Storage Server 2003やLinuxベースNASからのリプレイスはもちろんのこと、新規の導入にもぜひ検討したい一台だ。

清水 理史