特別企画
企業向けオンラインストレージのススメ【後編】
日米2つのクラウドストレージ
(2014/3/7 06:00)
シャドーITを作らせないために
今回、3種類のクラウドストレージサービスを紹介したが、3者3様で、それぞれに特徴があるサービスだ。
トレンドマイクロのSafeSync for Enterpriseは、社内のサーバーにデータを保存して運用するはぴったりだ。Boxは、グローバルのサービスであること、またクラウドストレージをプラットフォームとして利用していることに大きな魅力を感じる。一方でGigaCCは、国内の企業が、日本企業を対象としてサービスを熟成してきたため、非常に細かな部分の作り込みが行われている。
どの製品・サービスを利用するかは、それぞれの企業のポリシーや考え方があるので、一概にどのサービスがいいとは言いがたい。もちろん、これら3つ以外の製品・サービスもさまざま存在するし、それらの中にも魅力的なものはある。
重要なのは、繰り返しになるが、使い勝手の良さから個人がコンシューマサービスを“シャドーIT”として利用し続けるのではなく、管理できる形でオフィシャルなサービスに切り替えていくことだ。
そのためには、便利なかわりに管理できないコンシューマサービスから代替サービスへ移行する時に、ユーザーが不便だと思わないようにする必要がある。ユーザーが使いづらいと思ってしまうと、代替サービスが使われないばかりか、さらに別のコンシューマサービスがシャドーITとして利用されることになる。
だからこそ重要なのは、前回でも触れたように、代替として採用するクラウドストレージが、今までと同じくらい(あるいはユーザーが納得できるレベルで)使いやすく、さらに高い管理性やセキュリティ性を持つことだ。
またIT管理者にとっては、企業向けクラウドストレージを導入したことで、管理の手間が増えては問題といえる。こうした2つの視点から、自社にとって最適なサービスを見つけ出し、真剣に検討してみてはいかがだろうか。
筆者は、ベストなクラウドサービスは、IT管理者と部門や個人にある程度の権限を渡せるようにして、自律的に運用できるものだと考えている。こういったサービスがクラウドストレージでも必要とされてきているのだろう。