特別企画
ゼロタッチマネジメント、そしてビジネスニーズの的確な把握こそがVSANの真髄~VSAN責任者に訊くVMwareのストレージ戦略
2016年9月16日 06:00
実際に導入してみるとゼロタッチマネジメントの虜になる
「VSANの導入企業は5000社をすでに超えている。そのうち約60%の顧客がミッションクリティカルなアプリケーションをVSAN上で稼働させている。そして毎週毎週、100社の新規顧客が生まれている」――。
8月30日、VMworld 2016の2日目キーノートに登壇したVMwareのストレージ&アベイラビリティ部門担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのヤンビン・リー(Yanbing Li)氏は、VSANが急激に導入企業を増やしていると強調。
その主な理由として、
・vSphereネイティブであるため、オペレーションを効率的に行える
・オールフラッシュ構成(キャッシュ+データストア)でもストレージコストを50%以上削減可能
・15のサーバーベンダー、100社以上のクラウドパートナーと協業し、多くのハードウェアリソースに対応したことでITのサイロ化を解消
といった3つを挙げている。
リー氏はキーノートの壇上でいくつかのVSAN導入事例を紹介したが、そのひとつに米コロラド州デンバーに本拠を置く世界トップクラスのエンジニアリング企業、CH2M Hillのケースがある。
50カ国以上に渡ってプラント建設/運用や高速道路建設、原発の廃炉/除染といった大型事業を数多く手がける同社は、グローバルで400以上のブランチオフィスを抱えている。ビジネスが拡大し拠点が増えるにつれてIT環境の複雑化が深刻な問題となりつつあり、とくにTier1アプリケーションのパフォーマンス低下に悩まされていたという。
この課題を解決するためにCH2Mが選択したのは、すべてのデータセンター内にある既存環境を、VSANが利用可能なHCIにリプレースすることだった。共有データストアをすべてVSANで統合、「100% storage on Virtual SAN」を実現したことでアプリケーションパフォーマンスが大幅に向上し、ブランチオフィス間のタスク共有がゼロデイで可能になったという。
その後、CH2Mは新たに“VSAN Ready”なHPE製マシンをノードとしてデプロイしているが、すでにVSAN環境が構築されていることにより、非常にスムースな拡張が実現している。
「VSAN導入により、ストレージ管理が非常に容易になっている。我々はこれを“ゼロタッチマネジメント(Zero-touch management)”と呼んでいる。どんなインフラを選び、それらをどう管理していくか――、これからの時代にはその能力の有無が非常に重要になる。CH2Mのケースは、とくにエンタープライズにおける典型的な課題であり、VSANを選択したことで彼らはゼロタッチマネジメントを獲得し、グローバルでビジネスに集中する環境を作ることができた。顧客は自分たちがどんなストレージを使っているかを気にしたくない。重要なのはデータやアプリケーションワークロードをいかに快適にマネージできるのかであり、もっと言えばストレージのマネジメントなどを気にせずにすむ環境を求めている」(リー氏)
VSANの顧客は最初、そのコストに魅力を感じてVSANを選ぶことが多いという。だがリー氏は「最初はコストでも、実際に導入してみるとVSANのマネジメントのシンプルさ――ゼロタッチマネジメントのとりこになる」という。
そしてハードウェアの制限、さらにはクラウドの制限を超えてゼロタッチマネジメントを提供できるのが「Nutanixなどの競合では実現できないVSANの強み」と、リー氏は強調する。