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「SaaS、インフラ、アドバンスドワークロードを三位一体で提供できる」~米Microsoft 沼本健CVP、

クラウドサービス事業「Intelligent Cloud」は、非常に順調

 日本マイクロソフト株式会社は17日、エンタープライズ向けのクラウドサービスに関連したプレス向けラウンドテーブルを開催し、米Microsoftにおいてクラウドとエンタープライズビジネスのマーケティングを担当する沼本健氏が、同社のクラウドサービス戦略を説明した。

 エンタープライズ市場におけるMicrosoftのクラウドサービス事業「Intelligent Cloud」は、非常に順調な伸びを示している。先月発表された同社の第3四半期決算からも好調さをがうかがえるが、すでにFortune 500企業の85%はMicrosoftのクラウドサービスを利用しており、さらに7割の企業がMicrosoftのクラウドサービスを2つ以上利用しているという。

 沼本氏は「単に当社のクラウドサービスを導入するお客さまが増えているというだけではなく、多くのお客さまが、さらに別のサービスを利用開始している。このようにクラウドサービスを複数利用いただいているお客さまは、1年で13ポイントも伸びており、サービスの導入"深度"も増している」と述べ、好調さに手ごたえを感じている。

米Microsoft クラウド&エンタープライズ マーケティング コーポレートバイスプデント(CVP)の沼本健氏

 クラウドサービス導入の道のりには、大きく2パターンがあるという。1つはビジネスインパクトが大きく導入も比較的容易なSaaSソリューションを導入するパターンで、ビジネス部門が主導することが多い。もう1つは自社のITインフラとしてクラウドを活用していくパターンで、主にIT部門主導で導入される。しかし、いずれのパターンで導入しても、最終的には両方利用することになると沼本氏は述べた。

 さらに、クラウドサービスへの成熟度が上がっていけば、機械学習やデータ分析など既存のアプリやソリューションでは実現できなかったことをクラウドサービスで実現するようになるという。この分野を沼本氏は「アドバンスドワークロード」と表現する。

 沼本氏は企業がクラウドベンダに求めるニーズには、SaaS、インフラ、そしてこのアドバンスドワークロードの3つがあるとし、「SalesforceはビジネスSaaSに強いが、クラウドのインフラは持っていない。一方でクラウドのインフラを提供しているAWS(Amazon Web Services)は、データ分析や機械学習といった包括的な技術は持っていない」と述べ、Microsoftはこれら3つのニーズを包括的に満たすことができる数少ないクラウドベンダであることをアピールした。

クラウドサービスの導入

 MicrosoftがIntelligent Cloudとして提供しているサービスは多岐に渡っているが、その中でも沼本氏は代表的なサービスとして次のようなサービスを紹介している。

 ビジネスソリューションとしては「Office 365」「Microsoft Dynamics」「Power BI」「PowerApps」。モビリティおよびセキュリティを提供する「Microsoft Enterprise Mobility Suite」。

 クラウドインフラのサービスとして「Azure」、およびAzure環境をパッケージ化してオンプレミスでも同等の環境を構築できる「Azure Stack」。さらには、クラウド/オンプレミスを問わずITシステム全体を統合的に管理する「Operations Management Suite」。

 そして、アドバンスワークロードとしては、アプリケーション開発、IoT、データ分析などがある。

 このように大規模な展開の結果、Microsoftのクラウドサービスは、AzureのSQLデータベース数は1600万件、成長著しいIoT分野では週に処理するIoTデバイスからのイベントメッセージが2兆件にもなるという。

MicrosoftはSaaS、インフラ、アドバンスドワークロードを三位一体で提供できる

 さらに沼本氏は、いくつかの新しいサービスについても言及している。非常に好調な売れ行きを示しているMicrosoft Enterprise Mobility Suiteには、Adallom買収で取得した技術をMicrosoftのR&Dの技術でさらに進化させたセキュリティのSaaSである「Microsoft Cloud App Security」が新たに加わる。Microsoft Cloud App Securityによって、社内のシャドウITの把握やアクセスコントロールといった機能が提供されるという。

 また、モバイルファーストとして沼本氏が紹介したのは、先ごろ買収を完了した「Xamarin(ザマリン)」だ。Visual Studio上でモバイルネイティブなアプリケーションを開発できるツールとして無償でVisual Studioに追加された「Xamarin for Visual Studio」では、WindowsだけではなくiOSやAndroidのアプリも開発することができる。国内では三井住友銀行が採用し、タブレットで住宅ローン事前審査の申し込みを最適化するアプリを開発しているという。

北原 静香